羽衣さん、春島【晩春】
チェンジ
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『!!、ロー、南の表門に海軍の船がいる
私たちの船を探してこのカジノに来てる』
「げっ!?思ったより早い到着!」
「逃げろ逃げろ!」
「ペンギン軍曹殿!もういくのでありますか!?」
「あぁ、俺たちは海賊
ここには長くいられねぇよ!!」
「カババババ!!騒がしい奴らだ!!」
「じゃあな、セイウチ親分にトド姐さん!アデリー隊長たちも!!」
落ち着いた別れも出来ずバタバタと去っていくハート海賊団にセイウチ親分は大きく笑った
海軍に追われるハートの海賊団は街を駆け抜ける
一同、その背には作戦でペンギンたちが盗み出したカジノの宝がある
「あーあ、せっかくの観光地にカジノ…一回くらいは遊びたかったぜ」
「やめとけ、お前なら負けるのがオチだ」
「待てー!!いたぞ、こっちだ!!」
しつこい海軍に、捕まることはないが逃げ切ることも難しい
このまま戻っても船の位置もバレてしまう
どうしたものかと悩む
「やべぇ!めんどくさいことになった
もう今日は戦いたくねぇよ!」
トランプ兵との戦いでヘトヘトのシャチが弱音を吐く
『まければいいの?』
「ったりめーだろ!!」
その横で聞いていたタヌキが、シャチの持っていた袋の口を開く
すると、瞬く間に盗み出した万札が宙を舞う
「ッ○*%€〜!!!」
言葉にならないシャチの悲鳴は、宙に舞ったベリーに食いついた市民で大混乱になった街の騒ぎにかき消された
『ね?』
「ね?っじゃねーよ!!大切な金だぞ!俺たちがどんな苦労をして手に入れたと思ってんだ!ペンギンに言われんの俺だぞ!!」
『ん、ありがとうシャチ
この島での賭けの負けはローに黙っててあげる」
「お前ッどうしてそれを!」
『…で?』
「タヌキ様、ありがたき幸せッ!」
ローたちが来る前にこっそり遊んでたなんて、知られてはどうなるかわからない
イッカクにも内緒にしていたはずなのに
もし、シャチに尻尾が生えていたなら逆立ち膨れ上がっていただろう
上手いことまけたハートの海賊団は無事船へとたどり着いた
名残惜しく街の方へと振り返ると、街のシンボルの桜が美しい薄桃色に染まり咲き乱れていた
「あれは!!」
「まさか!?」
金に目が眩んでいた街の人々の動きも止まった
この島について1番に聞いたことだ
この島のシンボルの“サクラ”には伝説の色がある
どうゆう訳か分からないが何十年かに一度…他のサクラの様に美しい薄桃色に染まる
その色はこの世のどんな色より鮮やかにこの島を彩る
そして今、何十年かぶりにその桜が薄桃色に染まっているのだ
「すげぇ」
「やるなぁ…親分さんはよぉ」
金より何よりこの島の自慢だと大きく笑って言ったセイウチ親分を思い出す
ハートのクルーたちだけは十中八九セイウチ親分たちの仕業だと悟った
盛大な見送りだ
『綺麗…』
「行くぞ!出航だ!!」
「あいあい!!キャプテン!!」
札束と美しい桜が舞いカジノが消え去ったこの夜はのちにこの島の伝説となった