羽衣さん、春島【晩春】
チェンジ
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セイウチ親分とトド姐さんが案内したのはこの島の中枢…島のシンボルでもある“サクラ”の根元だった
地下水を汲み上げるたくましい根は部屋全体を覆い、圧倒すらされる
「こいつゥがいなきゃ、この島はねぇ!!」
このサクラのお陰でこの島は息をし脈を打つ
「若い頃ゥ悪い奴らがこのサクラを切ろうとしてよ、暴れ回ってたらこの島の裏側の牛ゥ耳っちまってたよ!カババババ!!」
「あらあら!カッコ良くて素敵ィだったわよ!!ワッニッニッ!」
セイウチ親分たちは手慣れた様子で根を避け、あっという間に幹のところまで行ってしまった
「これだよ!これ!お前たちに見せたかったモノは!」
そしてセイウチ親分か根元の幹を指差した
そこには幹の中で守られているように、今日の“サクラ”と同じ色をしたサクランボがあった
“チェンジングチェリー”
「我々も親分から聞いてはいましたが初めてみました
渾身の一房と呼ばれ、大粒の果実と極上の甘味を誇ると言われるサクランボなのであります」
『そんなにすごいものなの?』
「さあ…何せ市場に出回ったことがないので」
サクラと同じように日ごと、色が変わっていくさくらんぼ
「俺たちは代々守り続けてきた…そしてまた守ることができる!ありがとう!」
「あなたたちのおかげで目を覚ますことができた!ありがとう!」
「いや…俺たちには俺たちの目的があった
ついでだ」
目的を果たすだけなら、ここまで暴れなくてもいいものを
親玉を引き摺り出す為にハートの海賊団総出で駆けずり回ったのだ
「これを機にカジノも畳む!
あんなものがなくてもこの島もサクラも生きていける!」
セイウチ親分の決定にトド姐さんもアデリー隊長たちも賛成する様に頷いた
「カババババ!小僧ゥ、よかったらこの“チェンジングチェリー”もらってくれ!」
「ぇえ!いいの!?」
「おいおい、いいのかよ
大事なものなんだろ!」
「是非お前たちに食って欲しいんだ!
俺たちはまた育てて食べればいい」
セイウチ親分はトド姐さんの肩を抱きながら言う
彼らなら、また素晴らしい“チェンジングチェリー”を育て上げるだろう
「わかった、もらおう」
「これを食べれば、天使ィに好かれるって言うのよ
素敵でしょ?」
『私たちは海賊だから…天使に好かれても困るよ』
「カババババババッ、ちげーね」