羽衣さん、春島【晩春】
チェンジ
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鬼纏を解くと、倦怠感にタヌキはフラついた
ローが支えようとするも、耐え切れず倒れてしまった
倦怠感があるのは2人とも同じだ
『ロー、ごめん!』
「いや…気にするな」
慌てて重い身体を起こそうとしたタヌキの腰をロー腕が掴んだことによってローに倒れ込む
予期しない出来事にタヌキはテンパって起き上がろうとするも、ローに邪魔されそれは叶わない
「キャプテン!タヌキ!
よかった無事だったんだね!!」
壊れたドアからベポたちがやってきた
手には金庫から盗み出した金貨を持っている
どうやらあちらの作戦も上手くいったらしい
しかし、クルー全員身なりはボロボロで一筋縄ではいかなかったらしい
『ベポ!ボロボロじゃない!』
心配のあまりローの腕をあっという間にほどき、タヌキはベポの元へと駆け寄った
「うん!俺、スペースってやつに勝ったんだ!」
「スペードな」
「こいつ、俺たちがどんな苦労をしたかしらねぇーで」
シュッシュッと宙に拳を放つベポは元気そうで、タヌキもローも安心した
その後ろでやれやれと帽子を直すシャチの様子にあちらも大変だったようだ
「俺たちだってダイヤって女をだな!」
「おい、ウニ!お前は鼻血垂らして倒れてただけだろ!」
クリオネがウニに文句を言いながらローが使った“お医者さんカバン”から包帯を取り出し各自包帯を巻き手当てをする
みんな元気そうだ
「親分!!おやぶーーん!!!」
ハートのクルーに少し遅れて、アデリー隊長たちもやってきてセイウチ親分とトド姐さんのところへ駆け寄って行った
だが、その姿はローとタヌキが前にあった時と違っていた
「親分!無事でありますか!?
それにトド姐さんまで!ぼろぼろじゃないですか!」
「カババババ!アデリー隊長ゥたちこそぼろぼろじゃねぇか!」
「これは男の勲章!これしきなんともないであります!!」
「そうかお前も人間の…元の姿に戻っちまったか!」
「急に姿が変わっちまうから驚いたぜ!
そういう大切なことは先に言っとけよな」
セイウチ親分の一派も動物系の能力者だったみたいで、今では姿はすっかり元に戻り誰が誰だか分からなくなってしまった
これほど一度に大勢の能力者がいるとは、これにはローも驚いた
「こんなに能力者がいるとは驚いた
すごいな…戦力としては申し分ない」
「…力が上手く使えればな」
『?』
「“ジョーカー”が持ってきたのは粗悪ゥな実だった
多くゥのものが命を落とし、ここにいる奴らだって力を使いこなせていないものがほとんどだ…俺たちが動物ゥの姿で居続けるのもそれが一因だ」
「ほとんどのものが力が使いこなせず、姿をコントロール出来ないのであります…」
「街中で急に人間がセイウチになったら、みんなビックリしちまうだろ?カババババ!!
トド姐さんやトランプ兵たちのほうが珍しく能力ゥが使いこなせたんだ」
セイウチ親分は意識を失ったトド姐さんを優しく撫でた
その姿は恰幅の良い人間の女性の姿になっていた
「もっともっとと力を欲し続けてトド姐さんはコントロールゥが難しくなっていった
“欲張り”は博打で厳禁だ…身の丈に合わない賭けは勝っても負けても心をスッちまう」
『だから、今回の暴走になったのね』
「まぁ…それもあるんだが…」
「?」
「違うわ…今回ィの原因は目玉焼きィに醤油をかけるかソースをかけるかの喧嘩よ」
「ト、トド姐さん!起きたのか!よかった、よかった!!」
目が覚めたトド姐さんをセイウチ親分は感極まって抱きしめた
人間の姿に戻ってしまった自分の姿を確認して、トド姐さんはセイウチ親分を抱きしめ返した
「私、もっと貴方の言うこと聞けば良かったみたい
いつも以上に感情の制御も力の制御も出来なくて…」
感動の再会だが話を聞いていたローとタヌキには1つ引っかかっていた
「ちょっと待て、喧嘩の原因って」
「もう“ジョーカー”に関する喧嘩はし終わったであります!」
「だって小僧ゥ!信じられるか!?
姐さん、目玉焼きに醤油ゥをかけるんだ!!」
「それはこっちのセリフだよ!!
目玉焼きィにソースなんて信じられない!
ねっ、お嬢ちゃん!!」
「『いや、それはもういい』」
喧嘩の話を続けようとしたのでハァとため息をつきと止めた
仲直りしたばかりだと言うのにまた喧嘩をし始める2人に頭が痛い
2人の喧嘩を聞きながら、ローは手を顎に置きしばらく考えた
ジョーカーの影は、思ったより濃く深く大きくこの海に広がっている
もし…奴に届く前に…
「………」
『ロー…?』
心配そうに眉を下げたタヌキが、下からローを覗き込んだ
「大丈夫だ」
そうタヌキの頭を少し乱暴に撫でる
俺はどんなことがあろうと絶対ドフラミンゴを撃つ