羽衣さん、春島【晩春】
チェンジ
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大きな広間に豪華な装飾
上手にある高座には赤と黒の煌びやかな椅子が仲良く並べられている
黒の椅子は長い間使われていないのか埃をかぶっている
赤の椅子には、赤のドレスに身を纏い体格はセイウチ親分と張るほど大きなトド…赤の女王が赤く染まった鞭を片手に鎮座している
「やあやあ!親分!いや、黒の王!!」
「……グフッ」
「あぁあぁ!もう喋ることも出来ないかい?
まあ選ばれた私と選ばれなかったアンタとじゃあ勝負は決まってたけどね!」
タヌキの耳に届いた通り、セイウチ親分は大きく息を切らし喋ることすら難しそうだ
傷だらけで床も赤く染まっている
「私が負ける勝負は乗らないの知ってるだろ?
それなのに勝負に乗って“ベット”してくるなんて、アンタはなにも変わらないね…黒の王!!!」
更に赤の女王が振り下ろした鞭が、セイウチ親分の背中の傷を深くえぐる
「っグゥッ…姐さんは…変わったよ」
「へぇへぇ!どこが変わったって?」
「カババ…綺麗になった」
「!!!、その減らず口が嫌ィなんだよ!」
先ほどより大きく鞭を振りかざす女王に、思わず目を瞑ったセイウチ親分の耳に届いたのは聞いたことのある声だった
「room…shambles」
「!!」
赤の女王が振り下ろした鞭はセイウチ親分に当たらなかった
セイウチ親分のいたところには小石があり、代わりに当たった
「よう、しばらく見ねぇうちに随分ズタボロだな」
「何者だい!?」
セイウチ親分に襲いかかる攻撃を防いだのはローだった
その横には、尻尾から取り出した応急措置セットが詰まった通称“お医者さんカバン”を持ったタヌキもいる
「お前ら…なんでここに」
突然変わった視界と、突然目の前に現れたローとタヌキにセイウチ親分は訳が分からず信じられない目でローたちを見つめた
「俺がここにいるって知っていたのか?」
クエスチョンマークがいっぱい飛ぶセイウチ親分に答えるものは誰もいなかった
「お前が黒の王様だったのか…?
似合わねぇな」
“王”と呼ばれたセイウチ親分が無残に床に横たわっているのをおかしそうに笑った
「俺たちは俺たちのしたい事をしにきただけだ
なぁ…タヌキ」
『うん』
「っ!!お前ら、死の外科医ィと八尾ィだな!
何故ここに…ッ!!」
「なぜ?ここはカジノだ…賭けをしにきたに決まってるだろ?」
ただし
「賭けるのは、互いの“全て”だ
まどろっこしいのは嫌いだ
先に地べたに這いつくばった方が負け、簡単だろ?」