羽衣さん、秋島
チェンジ
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町が寝静まった頃に手術は無事終わり、ローとタヌキは塔の顔の部分にあるバルコニーに来ていた
『いいの?』
「あぁ」
タヌキは塔の顔の部分から飛び立つと、ローに渡された真っ白な液体を町へとかける
コニーネ液薬
町の毒取り除く薬だ
島中の薬をかき集めて、船に置いてあったものすら集めた
姫の病気を治すこと
それを徹底するならば、原因菌を町から全てなくす必要がある
そこまでする義理はないがローはそこまで徹底した
いつの日かの、あの国のように…同じ過ちを犯そうとするのを黙って見てることが出来なかった
ただひとつ副作用があるとすれば、“色”を失ってしまうことだ
コニーネ液薬がかかったところから、次々と色が落ちその輝きは失われ流れていく
「なんだ…?」
「死の外科医、ここでいったいなにをしている」
側近のタローがそこにいた
「お前こそ、お姫様のところにいなくていいのか?」
塀にもたれかかりながらローが問う
手術中もローが何かしないように常に隣にいた男だ
大切なお姫様の術後の経過観察をしなくてはいけないだろう
「無論、他のものに任せてある」
「…お前も医者だろ?
なぜ、あのお姫様をあそこまで放っておいた?」
「!、気づいていたのか」
「そりゃな、俺も医者だ」
「…私の専門は内科だ…才能もなく今は姫さまの側で働かせていただいている」
「言い訳だな…俺はなぜ逃げたか聞いてる」
「私は…この国で生まれ育った
私にはこの芸術を…姫様が悲しむことは出来ない」
「だから、面倒事は悪人にか?
まあ、それはそれでお利口なこった」
「姫様を助けたことには礼を言う!だが、お前らをこの島から出す訳にはいかない…ッ!!」
懐から取り出した銃をローに向けるが、その標準は震えている
「お前の嘘がバレるからか?
何もせず、姫を見殺しにしようとしたことが?」
それとも
無力を他人に押し付けたことか?
無知を言い訳に使ったことか?
全部…くだらねぇな
「ッ!!貴様ァあ!」
“グッ”
『余計だった?』
「いや、そいつとの話は終わったところだ」
ローに襲い掛かろうとしたタローを倒したのは気配もなく後ろから戻っていたタヌキだった
「いくぞ」
全部…くだらねぇよ
お前の大切な人はまだ生きてるんだから
日が上り、照らされた町は真っ白に反射する
『真っ白だね…雪でも降ったみたい』
「…あぁ」
真っ白で
童話の雪国のように一面真っ白で
ローはまるで故郷の様だと思った
出航の準備をしているペンギンたちのもとへローは向かう
その後ろ姿はいつもより頼りなく、そのままこの町の“白”に溶け込んで消えて無くなりそうだった
タヌキは強く拳を握ると何も言わずにローの後をついていく
姫が目覚めないうちにハートの海賊団は出航した