羽衣さん、秋島
チェンジ
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「タヌキ…こんな奥にいたのか」
『ん、ロー?』
探し物が終わり、気配がしないタヌキを探すと、図書館の奥まった場所でステンガラスの日が差す所でふわふわと浮きながら本を読んでいた
「なにを読んでいたんだ?」
『前王の最後の日記』
「前王?確かこの国を作った奴だな」
『“涙とは眼がとりこぼしてしまった美のエキスなのだ
そこには、全ての色が渾然一体となっている…
でも、だからそれは無色なのかもしれない
そしてそれこそが我が求めている色なのだ”』
「…美しいポエムなこった」
『だから、この美しい国を作ったんでしょ?』
もう本を読む様子のないローは近くにあった椅子に座った
『もう探し物は見つかったの?』
「検討はついていたからな」
『そんなこと聞かれたら不味いんじゃない?
この部屋に入るための口実でしょ』
「なんだ知ってたのか」
情報収集の為だったのはタヌキにはやはりバレていたようでローの口角は上がる
さっさと目的を果たし、ペンギンたちは今役に立ちそうな情報を探っている
「まさか、前王が追い求めていた塗料が有害だったとは夢にも思わなかっただろうな」
『…コニのこと?』
「塗料製の“コニ”は、日々の呼吸などで少しずつ身体を蝕んでいく」
『塗料製?』
「この町のインクに使われている原料だ…あの姫の身体にも使われている」
その毒素が直接中枢神経にはたらいて、麻痺状態に陥らせてしまう
だが、そんなもの100年以上前に薬が見つかっている
それがまだ使用している島があるなんて
無知は罪だ
町の至るとこにある毒は少しずつ浸食し、そしてやがていつかこの街は滅びるだろう
『どうするの、ロー?』
「………」
『ロー?』
図書館の窓から町を見下ろすローの目は、イッカクとの冬島で見たものと同じだった
この島もまたローのナニカをたぎらせるものかあったのだろうか
ただあの時と違うのは、あの時のように激情はなく寧ろ落ち着き凪のように静かだ
タヌキはローの答えが出るまで待った
そしてきっちり1時間後、ローは入り口にいたタローに声をかけた
「ほっ本当か!?貴様!!」
「あぁ…希望通り綺麗さっぱり治してやるよ」