羽衣さん、秋島
チェンジ
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広すぎる姫の自室の壁一面に描かれた前衛的なアートは、やはりタヌキには理解しかねた
「50年前この国を襲った首都無差別襲撃事件を主題にした壁画です…立国の父でありハム姫のお父上様があの悲劇を忘れないためにお描きになられたのです」
小難しい説明にタヌキは、ハァとしか言えなかった
芸術は難しい
だからって悲劇の絵を姫の自室にしなくとも
気を失った姫の横で側近の男が語り出した
「前王は素晴らしい画家でした…この世の全てを再現しうる絵の具を求め、この偉大なる航海を旅しこの国へと戻ってきたのですが、この悲劇を目の当たりにし手に入れた絵の具でこの町を再建に人事を尽くしたのです
この世の全ての色を収めた町…それがこのフルカラなのです」
「………」
「…わてしはベポ様が大好きなのら
でも、それと同じくらいこの町が大好きなのら」
いつのまにか目を覚ました姫は、青白い顔で見るからに具合が悪そうだ
「…どうか安静に」
「いえ、タロー…この人たちにやってもらわなければ」
「姫さま、もしや!」
姫がベッドからおり、自ら患者衣を徐に取り去ると出てきたのは、姫の体に描かれた息を飲むほど美しいこの島の街の絵だった
「こりゃあ…」
ペンギンも目を見開き、それ以上の言葉がでてこない
「…姫さまは1人の人間であると同時に前王か残した1つの作品なのです」
まさにアート
人の裸体と戸惑うことすら忘れてしまうほどだった
1拍おき、ペンギンとラッコが慌てて目を逸らし、タヌキはローの動向に目を向ける
側近の男が姫様を大きな白のコートで身を隠した
「で、それを俺たちに見せてどうするんだ?」
「貴方は死の外科医…医者と聞きました
私を治すのら」
「嫌だと言ったら?」
「そのとき、あなた方はこの島のアートになる」
その言葉とともに、扉が開きあっという間に数十人の男がローたちを取り囲んだ
どうやらこの島、全てがハートの海賊団の敵のようだ