羽衣さん、秋島
チェンジ
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ハートの海賊団がたどり着いたのは芸術の秋島、フルカラ
季節は夏
カラッと晴れた空は街の彩りをよりはっきり見せる
そして今日がこの島において年一回開催される催事だということで大いに盛り上がっていた
笑顔の少ない姫を笑わせた者にグランプリの栄誉を与えるとかどうとか
「まぁ…変なこと起きなきゃ良いけど」
クルーたちが街並みの綺麗さに目を輝かせたくらいで、船長も特に気にした様子はなかったし
関係ないかとあまり気にもとめていなかったペンギンは補充品を求めイエーロ商店街へと足を向けた
そのころローとタヌキはグリリリン通りの緑一色に染まった本屋にいた
お目当ての医学書を見つけたらしいローが子供っぽい表情を浮かべるのを見てタヌキは小さく笑った
『そろそろベポたちのところにいかなきゃ』
「あぁ…待ち合わせはドレッド時計台だったな」
ローはタヌキの持っている本を取ると、本を持つ手とは逆の手をすっとタヌキの手を優しく握り、会計を済ます
身長差でしかしローの気遣いで少しだけ高くなった手の位置を感じ、タヌキは顔を赤く染めた
『あ、ベポだ』
「…何をやってる?」
何やら派手な衣装に身を包みシャラシャラと腰の装飾品を鳴らしならベポが、向こうの方から歩いてくる
『ベポ、何してるの?』
「ぁあ!キャプテン、タヌキ
みてみてー、これさっき女の子に貰ったんだー」
「貰った?」
また酔狂な奴がいたもんだ
ベポの手にあるのはこの島の民族衣装だった
「キャプテンたちのもあるんだッ!」
ベポが取り出した大量の服
アートの島の名の通り色とりどりだ
この島の過ごしやすい気候で機能性よりデザイン性が重視されている
本当に誰からもらったのか…?
『ちょっと派手じゃない?』
「この島ではこれが普通みたい!
ねっ、タヌキ着てみてよ!!」
タヌキは戸惑ったが、ベポにそう言われては着ないわけにはいかない
タヌキは近くにあったパープルントイレに入り着替えた
『ど、どうかな?』
タヌキが不安そうに聞くと、ローの息を呑んだ
チャイナドレスを思わせるデザインは、ピタリと密着し身体のラインを美しく魅せる
この島の独特の模様だろうか、幾何学模様が美しい
胸のラインからウエストを通りストンと落ちる真っ白な布は、脚を覆うがウエスト辺りから伸びるスリットで心許ない
パンプスで綺麗にでたふくらはぎに思わず手が伸びそうだ
いつもにない露出にタヌキ本人も戸惑う
「タヌキ、すっごく似合ってるよ!!」
『あ、ありがとう』
ベポに褒められ悪い気はしない
すれ違う男がみな思わず振り返る
ローがチラリ辺りを目での牽制に、何十人かの男が震え上がりそそくさと去っていった
「予想以上だな…船長も大変だ」
「チッ!あいつこんなところに!船長とタヌキとなに楽しそうなことをッ…羨ましい!!」
包帯などの常備品を買い込んだペンギンと、ベポという荷物持ちと逸れたラッコが遅れて待ち合わせ場所へとやってきた
「ベポ様〜、ここにおられたのですね〜!!」
「ベポ」
「様ぁ!?」
驚きのあまり責めることも忘れて、飛び出してしまったペンギンたち
ベポをそんな呼び方するなんて何者だ
「わてしはベポ様とオトモダチになりたいんですの!
それにベポ様はわてしからの洋服を受け取っていただけました!」
「え?」
「それは…その…承諾の意ですのよね!」
『え゛っ!』
「なんでタヌキが衝撃受けてんだよ」
ベポに大量に服をくれたのは目の前のまだ子供の少女
身に纏っているこの島の民族衣装は生地や細かい刺繍からして高級そうだ
この島独特の風習にまんまとハマったベポは、困ったようにローをみた
なぜベポに女物の服を渡したのか気になるところだが、この島の風潮なのだろう
「ベポ…何やってんだ」
流石のローも呆れ顔だ
しきたりや伝統、その土地にある信念は理解や和解するのに時間がかかる
それは時に、異国の地から来たローたちに死すら与える
「対等の契約を結ぶことをトモダチというと御本で読みました
わてしはベポ様と“奴隷”契約ではなく、“オトモダチ”の契約がしたいんですの!」
「とっ、友達って何すればいいの?
あっ、クッキー食べる?」
「ヘケッ、美味しい!流石ベポ様なのら!!」
「!!、姫が笑った…!!」
「なんだ!?」
「ハム姫様が笑ったぞーー」
「なにぃぃぃいいいい!!!」
ペンギンの不安通り、変なことが起きた