不死逢わせ
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「……………」
「……………」
「…………………………」
「…………………………」
音のない倉庫
いや、正確にいえば無くはないのだが
いつも雄叫びのような喚き声が響き渡っているのに
今日は(厳密に言えば昨日の昼過ぎからから)全く聞こえない
昨日、ハイテンションで出かけて行ってハイテンションで帰ってきたと思ったら、数時間後にはこんな感じになっていた
「シャフトさん、グラハムさんどうしたんすか
気持ち悪い…風邪ですか?」
気持ち悪いどころの話じゃない
なんだ、あのあさっての方向を向いて物思いにふける顔…
「あほか、なんとかは風邪ひかないぞ」
このままほっといても気色が悪い
主に俺達が
おい、やめろ
そんな目で見るなよ
お前が話しかけろよ
…………ハァ
「グラハムさn「あぁぁああぁぁあぁっぁっぁぁあああああっぁっあああああぁああ」
発狂した
「俺は俺はどうしたらいい!!?
胸がムカムカする、胸が痛い、胸がえぐられる、胸が締めつけられる
胸がはり裂ける、胸がむかつく、胸が千々に乱れ、胸が波打つ、胸が焼ける、胸が熱くなる、胸が圧迫される
苦しい苦しい苦しい!!
俺は死ぬんじゃないか!?死ぬ、ぁあ”死”!なんて恐ろしいことだ!!
”死”、すなわち”無”
なにもない、なにもかんじない!!!喜びも悲しみも!!
じゃあ、この話はどんな話になる?楽しい話か?悲しい話か?うれしい話か?寂しい話か?
言い表せない!!言い表せないんだよ!それをどーやってお前たちに伝えてやればいい?
どーやればいいんだぁあああぁぁああ」
「レンチを振り回してたら聞くものも聞けません」
元に戻ったら戻ったでうざいな
「で、いつから苦しいんですか」
「……忘れた」
「…怒りますよ」
「昨日」
「昨日変わったことは?」
「生憎、俺は過去を振り返らない主義だ!!」
「そんなんだと何時まで経っても問題解決しないでしょっ!」
なんでこの人はこんなにも人をイライラさせるかな!
「そう!タヌキだ!!タヌキなんだよ!!
タヌキはいい奴だったよ!
それはもう楽しい…楽しい話だ」
「進まないのでやめろや」
この人はいったい何がしたいんだよ
グラハムさんのタヌキさんの話はとまらない
タヌキさんってだれっすか
「ハァ、じゃあそんなに言うなら会いに行ったりなんかしたらなんか解決しちゃったりするんじゃないっすか」
なんて面倒な人だ
もう、後半は8割ため息
しかし、最後のデットボールになるほどいい加減にいった言葉はグラハムさんにとってド真ん中ドストライクだったらしく、目を見開いてキラキラと輝かせている
あの年に一度開くか開かないかの目がひらき鼻笛まで吹き始めて、いく気満々だ
「たまにはまあまあいい事いうな
よしっ!行くぞ!!シャフト」
「えっ、俺も…」
レンチの輪の中に頭を入れられる
拒否権ないのか
ドンドン道を進んでいく
1時間ほどしてグラハムさんの足が止まる
「いたんですか?」
見当たりませんけど
「タヌキってどこにいんだ?」
「知るかっ」
といたら頭をはさまれた
そして投げ飛ばされる
殺す気かっ!!
はぁ、もしかしたらある意味”ビョウキ”かもしれない…
いや、元からグラハムさんが正常なわけないけど
まだ見ぬタヌキさんがかわいそうに思えた
『大丈夫ですか?』
「……ハイ、ダイジョーブデス…」
声をかけられた
突然吹っ飛んできら、誰だってそういうよな
あっ、この人カワイイ…
「タヌキ!!!!!」
グラハムさんがスッっっゴイ勢いで俺の横を通り過ぎた
あっそう、俺のことは無視ですか…
案の定俺を助けてくれた女性に向かってもいつもの調子で話してる
おいおいおい…一般人にそれは駄目だろ…
あーあ、また暴走してるわ
あの人…誰がフォローすると思ってんだよ…
ってまてよ…あの人が
「もしかしてあなたがタヌキさんですか?」
『はい、そうですけど…あなたは?』
やっぱりね
どっからどうみても普通の女性だ
それなのにグラハムさんはいつも通り絡んでいったんだな
それはさぞ災難だっただろう
「俺はシャフトっていいます
昨日はアレが迷惑かけたようで」
『いえ、そんな…』
謙遜するなんてなんて良い人なんだ
普通だったらキレるかヒクかなのに
ゴンっ
えっ、殴られたんだけど
「俺よりも先にタヌキに名前言うなんて…シネッ」
「………まだ言ってなかったんすカハッ!」
それ俺関係ないっすよね…
はぁ、もう十分暴れたでしょっ
仲良くやってるとこ悪いんですけど、これ以上ここにいるとサツが来るんですけどねぇ
「タヌキはここで働いてるのか」
『はい。住み込みで働かせてもらってます』
「いいことを知った!
ここにくれば、いつでもに会えるということカハッ」
「失礼しました」
強硬手段で、ゴミ箱でグラハムさんを殴った
この人にはもう迷惑を掛けたくないし
あーあ、あとでグラハムさんにボコ殴りだろうな俺