幸せ
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グラハムはなにも言わず、ただただ抱きしめてくれた
その温もりにゆっくりと意識が遠のいていった
目が覚めるとそこにグラハムはいなかった
彼が掛けたと思われる毛布が暖かい
「(コソッ)おいっ、グラハムさんはどこ行ったんだよ」
「(コソッ)俺は知らないぞ」
「タヌキさんっグラハムさんは今来ますから!!」
「(コソッ)ばっバカ、今話しかけるなよ」
みんなもこっそり私の話を聞いていたみたいで、離れてもタヌキさんは俺らの姉さんです!!と熱く語ってくれた
シャフトは何も言ってくれなかったけど頭を撫でてくれた
けど、グラハムだけいない
どこにもグラハムがいない
シャフトに聞いてもバツが悪そうに首を振る
みんなが不安そうにそわそわしながら私は心のどこかで安心していた
さっきまでの不安がどっか行っちゃったな
もしかしたらグラハムもただの人間じゃなくて
私の不安を消し去る能力でも持っているんじゃないかと時たま思う
いつの間に日が暮れて、空には星が輝いている
まだ帰ってこないグラハムにみんなもずっと一緒にいてくれてる
私はいつもの半分の色しかない足をブラブラさせていた
そんな私に焦ったのはシャフトたちのほうだった
『シャフト…大丈夫だよ、グラハムは帰ってくるから』
「でも!帰ってこないじゃないですか!
タヌキさん…もう消えちゃうっていうのに!!」
みんなの視線がこちらに向く
『ねぇ、シャフト…いいこと教えてあげるね』
「?、いいこと…ですか?」
『グラハムが私の前にあらわれる時って、ヒーローみたいにあらわれるだ』
「ヒーロー?グラハムさんがですか?むしろ、ヴィアンじゃないですか」
『ははっ、確かに悪役ぴったり!
でも、やっぱり私の前ではヒーローなんだ!
だから今回も絶対来てくれるんだ!
よく言うでしょ、”ヒーローは遅れてやってくる”って‼!』
そう
いつだって彼はやってくる
「遅れてって…それでタヌキさんが消えちゃったら意味ないじゃないですか!!」
シャフトが言い終える前にバンッと扉を開ける音がした
シャフトの荒げた声はさらに大きな音にかき消され、音の先をこの場にいた全員が見る
「タヌキ!!!」
そこに
グラハムがいた
ほらねと吐いた言葉は誰の耳にも届かず空気に溶けた
だって私、微睡む意識の中聞いたもの
少し待ってろって言う彼の言葉を