幸せ
change name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「貴方のことは大体わかりました
そうですね…問題も解決しましたし貴方をここに引き止める理由もなくなりました
送って行きましょうか?夕方とはいえ女性のひとり歩きは危ないですからね」
ラックさんにそう言われて、私の思考はストップし返事が出来なかった
なぜなら、そう、私はカエルトコロがないからだ
『だっだいじょうぶっ、ですっ
ロニーさんにた…の……むn』
「タヌキさん」
私の動揺を見抜いたラックさんは(しかも簡単に)ニーコリと笑って私の名前を呼ぶ
まるで悪魔をも思わせるその笑みに私の言葉は消えていってしまった
8つの瞳が私を捉える
「教えていただけますよね、イロイロと」
『はい』
前言撤回
この人達はやっぱりマフィアだ!!
誘導尋問で、それはもうイロイロとひきだされてしまった
異世界から来たとは言わず、一応日本から来たといっておいた
ロニーさんを頼ってここまで来たといっておく
住所と勤め先については素直に無いですと言わざるを得なかった
誤魔化せっていうほうが無理だよ!!
あのラックさんに逆らえる一般人がいたならみてみたいよ!
「それならー、ここで働けばいいじゃないですか!」
相変わらずニコニコと言い放ったチックさん
「だってタヌキさん、サックス吹けるんでしょ?」
『あっ、私のサックス!』
チックさんの手の中には私のサックスが
「……はぁ、いいですかチックさん
いくら私達でも、子供を働かせるわけにはいきません」
ん?
「ぁあ!わすれてましたー」
んん?
あれ?おかしな流れで話が進んでいるぞ?
ベルガさんやキースさんもなんか頷いているが…あれ?
『私、子供じゃありませんよ』
みなさんの動きが一瞬止まる
何いってんだこいつみたいな
『もう18才なんですけど』
そう言うと、もう一度時間が止まる
今までで、一番驚いているじゃないか!!
別に私が童顔じゃないもん
コッチの人が、アメリカ人が老けてるだけだもん
ズンッと落ち込む
今までの比にならないくらいに…
慌てたように皆さんが励ましてくれる
無表情のキースさんも心なしか焦っているようだ
「タヌキがいいなら、働かないか?」
『えっ、でも迷惑じゃぁ』
「そうですね
確か、私が住んでるアパートに空きがあるはずですから手配しておきましょう」
『あの!』
「はい、どうかしましたか?まだ聞きたいことでもありますか?」
『どうして…こんなに優しくしてくれるんですか?』
「困っている人を見捨てるほど残酷な人じゃねーぞ、俺らは」
『それでも…優しすぎますよ』
なんだか気が引けて仕方ない
めちゃくちゃ迷惑をかけている
「………気にしすぎだ」
ポフッと頭に手を置かれた
頭を撫でるくせがあるのだろうか、それとも私の頭がちょうどいい位置にあるのか
絶対後者であって欲しくない…
「そうだぞ!それになぁ…」
『?それに?』
「欲しかったんですよ、妹」
イモウト?
『やっぱり私に”妹”はもったいないですよ』
「まだ言ってるんですか」
ラックさんとアパートまでの道をあるく
結局押しに負けてしまった
うぅ断り切れない自分が憎いよ
「いいじゃないですか、キー兄たちも嫌なら嫌って言うし
うれしいんだと思うよ」
『ラックさんも?』
「もちろん
明日、また来てください
仕事内容もそこでお伝えします」
『はい…すいません、お世話になります
それで…そのっ、私今お金なくて、アパートのお金とか…』
「かまいませんよ、給料がでてからで」
『ありがとうございます
…ラックさんってマフィア…ぽくないですね』
「!、よく言われます」
そう言って笑うととっても良い人にしか見えない
人を見かけで判断してはいけないよね
「ここが今日から住むところですよ
ボロボロですがね」
『ほぁあ、いやいいと思いますよ
趣があって』
日本とは違うからか、ちょっぴり感動してしまった
「タヌキさん」
『はい?』
「…おかえりなさい」
『!!…ただいま!』