『ふぅ、さて行くか』

蜂の巣（アルヴェアーレ）でごちそうになりました

もちろん、ロニーさんのおごりで

すいません、米ドルもってないんです

さて、まずは右だね

あっ、フィーロとマイザーさんに会ってない！

まぁ、いつか会えるよね

ロニーさんからもらった地図を頼りに歩き出す

ロニーさん曰く、私とロニーさんは初対面で初対面ではないらしい

意味がわからないよぅ

えーと、後今日は1931年12月1日らしい

……不死の酒は終わったっぽい

あれは確か1930年の11月だったはずなのだよ

１年以上前ってことか…

残念なような、ラッキーだったような

セラードは嫌いだったな

基本好き嫌いは無いけど

彼だけは無理だ

あの事件は、死ぬか不死者になるかだもんね

異世界から来た私に不死の酒がきくかも定かではないけど

これで、苦しみに苦しみぬいて死んだら最悪だな

…………笑い事じゃないな

あっ、ここ右だ





『…ゴミ捨て場？』


ついた先はゴミ捨て場のような所

路地を入って人気がないところだ

なんだここ？

ロニーさんの嫌がらせとか思ったけど、よく見ればそこには見慣れた黒いカバン


『！！コレっ！』


もしかするともしかすんじゃないか！

さすがロニーさん！さすが悪魔！！


『…あった』


数時間ぶりだというのに何だこの感動は

良かったよ、本当に良かった

一年前の誕生日に無理言って買ってもらったものだから

これはいよいよ吹きたくなってきた

あっ、でも一応ロニーさんに報告とお礼しに行かなきゃ

ゴキゲンで蓋に手をかけた

すると、後ろから声をかけられた


「すいません、そのカバンの中身見せてもらってもいいですか？」


低くいい声

そして、この声は聞いたことがある

なぜなら、私はアニメもしっかり見ていたからね！！

だぶん、そのカバンとは今開いているサックスのほうではなく、閉まっている白い粉がたくさん入っている方だろう

これは早急に否定しなければいけない


”これ、私のではなくて…”


いや、私の足元に置かれているんだから、余計怪しまれるっ


”ワタシエイゴワカリマセーン”


駄目だ、１９３０年初めって移民法で、外国人に厳しかったんだっ

誤魔化し切れない！！

尋常じゃない汗が流れる

もちろん、冷や汗ねっ


「ちょっと、ついてきてもらえますか」

グンッと空気が重くなる

これが殺気なのか

いやぁ、殺気怖い怖い

パニックっ、パニックっ

勇気を振り絞り、目線だけそちらに向ける


『……ラックさん』


思わず声に出してしまった私は悪くない…悪くないよ、不可抗力だもん

そう言ったら、背中に硬くて冷たいものが押し付けられる