幸せ
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「~♪」
『………』
「~♪♪」
『……………』
朝からずっと店頭の花を見続けている一人の男性
普通の人なら私もそっとしておくんだけど…
問題なのはこの男の人を私は知っていること!
赤い髪、赤い目、イルカのようなギザギザな歯
独り言のように紡がれる言葉は自然の素晴らしさを永遠と語っている
本物だ!と感動してたのもつい2時間前の私だ
声をかけれないまま時間も過ぎていき、今の気持ちは正直言って邪魔!
商売の邪魔なんです!!
いや、ファンですよ
原作のときから結構好きでした
いや、めっちゃ好きでしたよ
かっこいいし、イカれ具合も最高でした
でも…でもさっ
何時間も店先で何もせずいられたら困るし、他のお客さんが不審がって寄り付かないし…
私だってこんな変な人がいたら、話しかけれないさ
確かに貴方がずっと花見ておきたい気持ちもわかります
でもこっちも商売だから、どいてもらわないと困るわけです
『…あのお客様、お買いにならないのですか?』
私が話しかけると、なんでか知らないけど驚いた表情をした
私のこと気づいてなかったの!?
えっ、今話しかけるのけっこうな勇気使ったよ!?
なのにそんな反応って…
「ファナじゃない?」
『ファナさんなら、今日は出かけてますけど』
「フーン」
ファナさんじゃなくて悪かったですね!!
でもこっちは何時間も気を使ってたの!!
そんなあからさまなに嫌な反応しなくても
でも、どんな人でもお客様であることは変わりないわけだから…
ちゃんと対応しないと…
お客様は神様です!的なね
こっちが大人にならないと
『ファナさんに御用でしたら、何か伝言でもしましょうか』
「いや、いいや
あんた、信用できなさそうな顔してるし」
……
……………
………………………
……怒ってもいいですか
『人のこと言えない顔してるくせに!』
「!!」
『もういいです、今日はもう閉めますから帰ってください』
「でも、まだ昼過ぎだよ?」
『いつ閉めようとこちらの勝手です
それでは、もう二度と来店しないようにお願いいたします』
言ってやった!言ってやったぞ!!私
えらいぞ、私!!
いつもはっきりと自分の意見を言えない私だけど!
これもグラハムのおかげかな
私もグラハムを見習って、もっと自分のこと言えるようにしなきゃね
なんてグラハムの顔を思い出した
クリストファーさんをシッシッとおいやって、店を閉めた
あっ、ファナさんになんて言い訳しよう…
『ん~、いい朝!
昨日の分も頑張らなきゃっ!!』
「おはよう」
『…信用できない人の店に来るんですね』
「ここはファナの店だろ?」
なんでいるんだこの人は!!
ついさっきまでいなかったのに、いつの間にか店先においてある花に挨拶をしている
なぜか、私にはないけど
昨日のこと根に持ってるのかな
…クリストファーってそんなねちっこい性格だったっけ
『昨日も今日も来て暇なんですか?』
「そんなわけないだろ
君と違って忙しいさ」
『現在進行形で働いてる私に言われても…』
ハァとため息をつく
昨日と同じく花を見ながら鼻歌をうたっている
多分何言っても聞いてはくれないだろうな
前々から思っていたが、グラハムと同じタイプだよねこの人
ならそっとしておいたほうがいいかな
客は減るが、全く客が来ないというわけでもないし
よく聞けば、彼の紡ぐ言葉も悪くない気がするよ
これもグラハムの影響かな
グラハムの顔を思い出して、私も鼻歌をしてしまった
「あっそうだ、君の名前教えてよ」
『なんですか、そのレベルの低いナンパみたいな』
そう決めて、花にでも水をあげようとしたらなにも脈絡のない質問がきた
ってかなんですか!
一応、聞いといてやるよみたいな感じ!!
さっきまで興味なさそうにしてたのにっ
「君の口から、君の名前を聞きたい」
『よく平気でそんな恥ずかしいこと言えますね//』
「そう?恥ずかしいの?これ」
くそぅ
一般人のしかも日本人の感性というのを誰もわかってくれない!!
これだからアメリカ人は…(←偏見)
なんかすっごい振り回されてる!?
このままじゃやられっぱなしになっちゃう!←
『じゃぁ、私も貴方の口からあなたの名前が聞きたいです!』
∑!?なにこれ、めっちゃ恥ずかしいじゃん!!
騙された!普通に恥ずかしいよ、これ!
「僕はクリストファー
気安く呼ばないでね、気持ち悪いから」
人の好意を気持ち悪い…ひどっ
『……タヌキ・モコモコです』
「そっ、タヌキだね」
確かめるためか私の名前を呼び、ニコリ…いやニヤリと笑い
あれ?なんか顔近いですよ!?
「じゃっ、機会があったらまた会おうタヌキ」
チュッ
おでこにあたった感触に固まった
ハッと意識を戻した時にはもうクリスはどっかいってしまっていた
いったい何がしたかったんだあの人は//