月が欲しいと泣いている
change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『乱ちゃん!!』
「あー、乱菊やん
そんな息切らしてどうしたん」
小さくなった2人に流れた涙を拭おうともしない彼女
これならまだ問い詰められたり怒鳴られたりする方がマシだと言わんばかりな2人して困ったように慌てるもんだから、これはまた珍しい
「なんやこのがきんちょどもにも…弱点あったんやな」
新たな人物の登場に、自分の出番は終わったと自分の隣立つ平子サン
「…ばか」
アタシたちに聞き取れたのはその一言で
2人を抱きしめたっきり沈黙が続いた
「たぬき…あの約束まだ有効かしら」
『…約束?』
「いっしょに
着物問屋いこっちゅーやつやろ?」
『なんでギンは私よりも私のことを覚えているの?』
「ナイショ」
『もちろんだよ、乱ちゃん!あっでも、まだそこあるの?
私…その色々あって最近の流行もわからないし…こんな格好だし寸法がっいて』
「バカッ!そんなこと、今更私が気にするわけないでしょ」
『…うん、ありがとう!乱ちゃん!』
緩やかに笑うたぬきに胸がホッとする
彼女のことの関係を直接見たことはないが、仕入れた情報にどうやら間違いはなかったようだ
「女の子があそこまで盛り上がちゃうと男の子は無力っすねー」
「なんで俺に言うねん
と言うか、ギンもおるやろ」
たぬきが“生きて”最後に話したのは彼女だ
羨ましく妬ましく…哀れでもある
そこが彼女の可愛げで長所だ
「なんでたぬきばっかりなん?
ボクとの感動の再会は?なぁ乱菊」
『ぐぇ、重いよギン』
「たぬきを取られたからって拗ねないの」
「市丸隊長…?」
先ほどと同じように、背後からした新しい声に平子さんの表情が崩れた
「…おいおい、マジか
あいつまで呼んだんか」
自分でも心底そう思う