月が欲しいと泣いている
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背筋のピンと伸ばし座る姿は、100年以上たった今も変わらない
「たぬき…」
『だから喜助にだけは言っておこうと思って』
その澄んだ瞳も
「おこうって…」
『ヘヘッ、ごめんね』
「まったく…」
そのあどけなさが残る笑顔も
『でも、だからって止めても無駄だからね』
「わかってますよ
何年の付き合いだとおおもいで?」
『流石ママ!きゃーダイスキー』
その甘え上手なところも
何一つ変わらず"僕''を惹きつけて離さない
『でもね、喜助には言おうって言うのは本当だよ』
あの頃より伸びた背が
『急にいなくなったことずっと後悔してた』
あの頃より長くなった髪が
『喜助の作ってくれた朝ごはん残しちゃったこと
次の休みに新しい簪買い行くっていう約束守れなかったこと
ごめんなさいもありがとうも言えなかったこと』
そのしっかりとした声色が
彼女が少し大人になって"ワタシ"から離れていく
『だから、さよならはちゃんと言うって決めたの』
「さよならって」
『本当はたいちょー…真子たちにも言わなきゃなんだけど、なんだか忙しいみたいだから』
「さよならなんてまだわからないじゃないかッ」
『喜助、嘘じゃないの
この戦いで私がギンを助けることも
そして、そのことで私が死ぬことになることも』
「嘘であってほしいよ…」
『この前ギンにね会ったの…あっ、このことはみんなには内緒ね!でね、ギンが大切な人守ろうとして死ぬつもりなの“知っちゃった”から…喜助は知ってると思うけど、この子が教えてくれたから』
「……それはたぬきではなく?」
『私じゃないよ』
「そのために、あなたは死を選ぶと」
『もう決めちゃったから
101年前に決めちゃった!へへッ』
その笑顔に抱きしめたくなる
抱きしめてめちゃめちゃに撫でたくなる
子離れできてないのはどうやらワタシのほう
しばらく会わないうちにこんなに大きくなって
『喜助…』
「わかったって言ったでしょ?」
あなたが望むなら
「ちょっと影のあるイカしたお色気オカンに二言はありません
そのワガママ聞き入れましたぁ!」
『っ、ありがとう!!』
キミが笑ってくれるなら
「ただ…たぬきもワタシのワガママ一つ聞いてほしいッス」
ボクは何にだってなれる
「絶対にあなたを死なせたりしません」
死ぬのは一回でいい
生涯でたった一回だけでいい
あなたを失うなんて悲しみはもう一回だってなくていい