月が欲しいと泣いている
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かかさまが亡くなってととさまが“とうしゅだいり”になった
家にほとんどいなくって
私の“れいぎさほう”も少しずつ身についてきた
部屋のまどからただただ空を見ていた
ピョコっ
『!?』
「たぬきさーーん、遊びにきましたよん」
『うらはらさま!どうしてここに!?たっ、ただいま…えっとえーと、あっ!そちゃ!そちゃを、えーとどうするんだったっけ…』
「そんな気を使わなくていいですよ〜
いやー、慌てると敬語が崩れるんすね
これは面白いことを知りました」
『〜〜っ、うらはらさまがきゅうにおこしになるから…』
よっこいしょと言って窓から入ってきたのは
浦原喜助という人だ
私が知っていたのは彼の名前くらいで
四楓院夜一様のご挨拶の時にいらしていて、ただただ私はこの方も貴族で父の言いつけ通り敬わなければならない人なのだと思っていた
なのに、それを粉々に壊すようにうらはらさまはやってくる
挨拶の次の日から嵐のようにやってきては私に構うのだ
「そんな落ち込まなくていいんッスよ
そっちの方が僕はたぬきさんらしくて好きっ!!(抱きっ」
『うわ〜、うらはらさま!く、くるしい〜』
「うらはらさま!じゃなくて喜助でいいって何度も言ってるでしょ?ちゃんと言うまで離れません」
『そんな!うらはらさまだって!
わたしのようなものに、けいごを!
つかっておられるじゃないですか』
「たぬきさんが呼んでくれたらやめます!早く言わないと大変なことになりますよ」
『たいへんなこと…?ひゃっ!?あはは、あはははは!ちょっ、やめっ!?アヒャヒャヒャ』
「ほらほら、早く吐いたほうが身のためですよ?」
『あはははは…ハァ、いう!あはは、いうからやめてっ』
「いーえちゃんと言うまでやめません!」
『いやーー!きっ…きすけさんっ』
「えっ?すいませんよく聞こえなかったんでもう一度よろしいですか?」
『喜助さん!やめてよ!』
「さんも入りませんが、とりあえず合格点です
よろしく、たぬき」
ぽんぽんと私の頭を撫でた
とにかく不思議な人だった
なんでこんな私に構ってくるのかも不思議だった
でも暖かかった
喜助さんといると心の臓の辺りがぽかぽかなって、まるでかかさまといるときのようだった
『ねー、喜助さん』
「なんすか?」
『喜助さんといるとね、この辺りがね
なんかぽかぽかするの
かかさまがね、たぬきのことぎゅーてしてくれたときみたいね、なるの』
今度は私の髪をくしゃくしゃにして
そしていっそう抱きしめて
いつも通りへらりと笑って
「じゃあ、今日から僕がたぬきのかかさまになるッス!(すりすり」
『えー、やだー
喜助さんのおひげ痛いんだもん!それにかかさまはもっときれいだもん!』
「ハハっ、照れない照れないーこのこのー」
『きゃー』
やっぱりぽかぽかだ
ぽかぽかであったかい
ととさまにはないしょなの
たぬきにもう1人かかさまができたこと