月が欲しいと泣いている
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「たぬき!」
叫んだ時にはもう遅く
いやに光った鉛色の刀が彼女の胸を貫いて赤く紅く染まっていく
「ほぅ、これまた面白いお客様だ…」
その光景に声が出ず、先に声を発したのは平子サンだった
「愛染ッ!!貴様ッッぁぁぁああああ!!!」
「やはり、興奮状態の方が虚化の進行は速いようだね」
穏やかで嫋やかな声に冷たく見下した目
そのどれもが忌諱にふれる
刺した張本人は
たぬきがもたれかかり、その顔を確認することは出来ない
「目に見れる裏切りなど知れている
本当に恐ろしいのは目に見えぬ裏切りですよ、ねぇ、ギン」
「…はい」
こいつはっ
愛染は
市丸ギンの忠誠心を試すためだけにたぬきを殺したのだ
「愛染ッ」
虚化させることもなく
殺した
もう彼女が戻ってくることもない
たぬきの
あの笑顔も
あの温もりも
あの声も
もう感じることはできない
許さない
僕はこいつだけは
愛染だけは絶対に許さないッ!!
そうやって
拳のなかの爪が突き刺さりポツリと血を流した
「愛染副隊長」
「はい」
「ここで…なにを?」
永い永い戦いの始まりだった