月が欲しいと泣いている
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そこから授業に出てもなんだか上の空で
たっちゃんに体調が悪いと嘘をついて空き教室でサボってしまった
雨足は強まり生ぬるい風が少し気持ち悪い
雨、止むといいな
「お嬢ちゃん、来ないなとこに1人でおったら変な男に連れてかれてまうよ?」
『ごめんなさい、私そんな安っぽいナンパに引っかかるほど軽い女じゃないんです、ギン』
「あれ?ばれてもうてた?顔もみないで当てるなんてつまらへんなー」
なんて事を言いながらニコニコと笑って私の隣に座った
久しぶりなんて一言も言わず
まるであの時のようにスッと入って
悲しいお別れも苦手なら感動の再会なんてのも苦手だけど
どうやらギンも同じようだった
なにも言わないこの距離感が心地よい
隣でニコニコと笑うギンを見る
窓から見たあの顔が全く違うくて
『ギン?』
「なにー?」
『ううん、やっぱりなんでもない』
「ハハッ、変なたぬき」
あの窓から見たギンは幻だったのかな
あの日と変わらない笑みを浮かべるギンに
なんだか胸がホッとなった
『あのね、ギンこの前ね…』
そうやって話し出すことも変わらず
あんなに嫌だった雨の音が心地良く聞こえた