月が欲しいと泣いている
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折れそうな二日月が空に浮かぶ
無事真央霊術院への合格も決まった
ギンとさよならだ…
嬉しさと寂しさで胸がちぎれそうだった
通い慣れた道も今日で最後
つかなければいいのにと思う
早くギンのところにつけとも思う
初めて駆けたワクワクも
ギンに初めて抱きしめられたドキドキも
全部全部今日でさよなら
いつもの場所につく
ギンはやっぱりそこにいて
『ギン…』
「たぬき?なんや今日は元気ないね?どうしたん」
『………』
「……たぬき?」
『………ギン』
「ん?どうしたん」
『…ギンッ』
「おん、ボクはここにおるよ」
ギンの顔を見たら言葉がでなくって
来る道でたくさん考えたのに
『わたしッ、もうこれな…いからッ』
やっとでてきた言葉は涙に濡れて
かかさまのときもととさまのときも気丈に振る舞った涙もギンを目の前にするととめどなく溢れて来る
「…そうか」
ギンは一言もそう言うと、あの時のようにギュと抱きしめてくれた
あの時より強くて
あの時より暖かくて
『ギンッ』
もっともっと離れたくなくなる
この気持ちの名前を知れないまま別れがくる
はじめてのさよならは結局言えなくて
『だからまたね』
「…たぬき」
『ギン、またね』
「おん、またや」
またこの月の下で
いつもたくさん話すのに今日は一言もなくギンの体温に包まれた