Love is …
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コンコンと優しくノックされたかと思うと、アンジェロが暖かそうに湯気をたてたココアを持って現れた
「ボンゴレは?」
『…用があるといってしまいました』
「そうですか」
『きっと1人にさせてくれたんだと思います』
ツナのために淹れただろうコーヒーをテーブルに置いた
たぬきはもらったココアをフーフーと冷ました
もっと泣いて怒って笑ってそうやって過ごすんだとたぬき勝手にそう思い込んでいた
私はまだなにもしていないのに
帰れる事を喜ぶべきなのに
心にぽっかり穴が空いたような…何かが足りない
『アンジェロさん』
「はい」
『アンジェロさんはあの局長のユウヒって人と知り合いなんですよね』
「はい」
『アンジェロさんが探してた人ってあの人ですか?
「気づいてたんですか」
『…ベルさんが教えてくれました』
「全くあの人は」
『寂しくなかったですか
…大好きな人と別れるの』
「…彼女にも彼女の立場がありましたからね」
寂しそうに笑うアンジェロに、自分だけが大人になれていないんじゃないかと思った
「ふふ…嘘です」
『えっ…?』
「死ぬほど駄々をコネました」
いたずらっ子のように笑ったアンジェロ
あんなに紳士なアンジェロが駄々をこねる姿を想像できなかった
「…でも彼女は行ってしまった
貴女が私の前に現れた時、すぐに彼女の血縁者だとわかりました
下心があって近づいたのです」
アンジェロは自分が誰彼構わず助けるような人間ではないことを伝えた
『そんな…アンジェロさんは優しくて…』
「幻滅しましたか?
私は貴女が思うほど紳士ではないのです
ボンゴレもそう…貴女に優しく微笑みかけているようで裏で何を思っていることかわかったものではない」
それがアンジェロが生きているマフィアという裏社会だ
たぬきには似合わない
だから、たぬきも彼女のように自分のこの世界を去っていくのだと…その方がいいのだと思った
『…アンジェロさんが私を拾ってくれた時淹れてくれたココアはすごく美味しかったんです』
たぬきから出たのは何にも答えになっていない言葉だった
『アンジェロさんは私に意地悪しますか?』
「…それは…困った質問だね」
『いっしょに食べたパスタも美味しかった…撫でてくれた手も柔らかかった…アンジェロさんがどう思っていようと私はそう感じました』
「たぬきさん…」
『ツナさんにも…最初はびっくりしたけれど、いっしょに食べたジェラートの美味しさも繋いでくれた手の優しさも…私にとても嬉しかった』
この世界で過ごした思い出がよみがえる
『それだけ…なんです』
マフィアとか時空管理局とか難しいことは何一つわからない
『またアンジェロさんのココアが飲みたい
ツナさんとジェラートも食べに行きたい
そう思うことは…もう贅沢なんでしょうか』
昨日まで当たり前に思ってたことが、もう許されないと思うと悲しく涙が出た
きっとこの指輪を失ったら何も出来ない自分に戻ってしまう
だたおばあちゃんが力を貸してくれてただけで自分の力でもなんでもなかった
『…強くなろうとした自分自身は結局何にも変わってなかったんです
せっかく皆、優しくしてくれたのに…』
「そんな事ない
そんな事ないよ、たぬき」
『アンジェロさん…』
「君は美味しいコーヒーを淹れれるようになった
優しさを持った強い子になった
君は確かに成長したんだよ」
こうした方がいいと手を引かなくても、たぬきはもうしっかり自分の足で立てる
おてんばで世話を焼いてたユウヒと別れた時も、その事を目の当たりにして自分は手を離したんだ
たぬきの手も離してやらなければ