アニバーサリー!4周年!!
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“君を必ず迎えに行くよ
君に相応しい男になって”
“ツナさん…”
“ドン・ボンゴレの名に懸けて世界から君を攫ってみせるから…それまで心して待ってて”
“ツナさん…”
pipipi…pipipipi
『っん…』
pipipi…pipipipi
『んー』
淡い甘い朝寝の夢にまた目を閉じたが、携帯のアラームで目を覚ます
窓から差し込む光に少しずつ頭が働きだす
身なりを整えるとリビングへとおりると玄関には母親から靴を履いて出るところだった
『おはよう』
「おはよう!ママもう行くから!!
たぬき、忘れ物ないようにね!」
『うん、いってらっしゃい』
「けど、本当に驚いたわ
急にイタリア語を勉強したいって言い出すんだもの」
しっかりやるのよとたぬきが返事をする前にぱたぱた駆け足で出て行ってしまった
4年前のちょうど今日、祖母の家の蔵の掃除から帰ってきたかと思うと両親にそう告げたたぬき
ツナとの約束も、マーレの笑顔も、アンジェロの優しさも、全てが夢だったんじゃないかと思う日々もあった
何度も何度も祖母のあの蔵に行ったが、4年たった今もツナは迎えに来ない
準備を終えて、祖母の仏壇に手を合わせる
『おばあちゃん、いってきます!』
今日もいつも通りの日常になる
今日こそは何かが起こる
入り混じった気持ちでたぬきは手に持ったイタリア語のテキストを握りしめ家を出た
「えっ、結婚ッ!?」
「うん、サークルの先輩とできちゃったらしいよ」
「はやっ」
たぬきが教室に着くなりもう中は何やら盛り上がっていた
「あったぬき、おはよう!
ねぇ聞いた?」
『あんな大きな声で喋ってたら聞こうとしなくても聞こえるよ』
同級生の子が結婚した
法律上は問題ないが、やはり学生のうちにゴールインしたということに話は持ちきりだった
「たぬきはってまだ男の気配すらないもんね」
「いやいやたぬきにはイタリアにいる素敵な彼がいるだもんね?
「えー!私たちに黙っていい男捕まえてるんだ!」
「でも、まだ一回も見せてくれたことないよね?
本当にいるの?」
クスクスと笑われてもたぬきは苦笑いしかできなかった
うっかり口を滑らせたのに、証拠もなくて2の句が紡げなかったからただの見栄を張った妄言だと思われている
今じゃすっかり揶揄いの種だ
「いい!たぬき!!
いい物件はすぐ無くなっちゃうのよ!
稼ぎがよくてイケメンで優しくて稼ぎがいいまだ見ぬ彼を私たちも早く見つけなきゃ!」
たぬきの話は終わりだと、彼女たちはもう携帯を手に次の出会いの場を探している
「Ciao a tutti!
席についてー出席をとりますよー」
だが、それもすぐに来た教授の号令とともに教室は静かになった
「今日は始まる前に学校からの資料をお配りしまーす
期限内に事務まで提出をお願いしますねー」
配られたのは構内でひらかれる就活説明会だった
『就職…』
まだ大学に入ったばかりだという感覚と、もう次を決めなければならない現実が目の前にきた
大学は帰ってきたあの日のうちに勢いのまま決めてしまえたのに、今はあの時と同じように進めなかった
「では、テキストを開いてー」
待ってると約束して心の準備もいっぱいした
先延ばしにするのもありかな…なんて考えながら同じく配られた留学の資料に目を落とした
でも、イタリアなんかに行っちゃったらツナさんが迎えにきた時困るかな
ツナが迎えに来る保証など何処にもないから今朝見た甘い夢に縋るしかできない
たぬきは彼女たちの方が自分より随分と現実的だと理解していた
When you are in love you are not wise; or, when you are wise you are not in love.
恋をしている時には、思慮分別というものがきかないものである。つまり、思慮分別がちゃんときく時には、本当の恋をしていない証拠なのである。
今日こそはと…少女はまた淡い甘い朝寝の夢を見る