また君に恋をする
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2人きりになった船内でたぬきは相変わらずゾロを見つめていた
記憶がなくなったたぬきがどういう気持ちで、見ているかゾロにはわからず少し居心地が悪い
まあ、記憶があった頃もたぬきはゾロをよく見ていたが
そんなゾロにもお構いなしに、たぬきはまたゾロに先程と同じことを聞く
『私、本当に貴方のこと好きだったの?』
「そんなことも忘れちまったのかよ…」
『はいすみません…?』
「謝るんじゃねぇ、お前は何も悪くないだろ」
『すみません』
「ぁあっ、ッタク!全く調子狂うぜッ」
一刻も早く、あの男からたぬきのコイゴゴロを取り返してきて欲しいとゾロは切に願った
たぬきはまだゾロから視線を外さない
もしこのまま記憶が戻らなかったら…とゾロの胸に不安がよぎる
「お前は…なんだ…不安じゃねェのか?
俺のこと忘れちまってんだろ?」
今のたぬきにはゾロは赤の他人のはずだ
自分で言った事実に、認めたくないと舌打ちをする
当の本人のたぬきはあまり実感もなく緊張感はない
「…んだよ」
『貴方の瞳、とても綺麗ね…あっ!綺麗ですねッ』
「なっ!」
『??』
「お前!本当は記憶あんだろ!」
『お前じゃないわ、私はたぬき
貴方は私のこと知っているんでしょ?』
「………ッ」
たぬきが言った言葉はゾロとたぬきが初めて出会ったときに言った言葉と同じだった
知らない女と目があったと思ったら、突然詰め寄って同じことを言ったのだ
ゾロの言葉に思ったことを言っただけよとたぬきはハテナマークを飛ばしている
「〜〜ッッあ゛ぁ!」
記憶のないたぬきを何かするほど、幾ら極悪人顔のゾロも道を踏み外していない
今のたぬきには、ゾロは恋人どころか仲間という記憶もないのだから
「2度同じセリフを聞くとは思わなかったぜ…全くお前は俺のどこがいいんだよ」
『強そうで格好いいところ』
頭をかきながらぽつりと言ったゾロの言葉にたぬきが答えた
「………」
『それから、今もずっと私のこと気にかけてくれてる優しいところ』
「……ッ」
『それに』
「…っ、まだあんのか!?」
『貴方の綺麗な瞳…とても素敵
今はまだ貴方のことを少ししか分からないけど
私が好きになったんだもん!まだたくさんあると思うわ!』
「わかった!わかったからそれ以上近寄んじゃぁねぇよ!」
どうなっても知らなェぞと撫でたたぬきの髪はいつも通り柔らかい
くすぐったそうにするたぬきはいつもと変わらない
格好悪く狼狽えていたのは自分だけだった様だ
思い出してみれば、たぬきはどこか図太いところがあった
「…“貴方”じゃねぇよ」
『…え?』
「ゾロだ」
『!!』
その言葉を聞いた瞬間、たぬきはゾロの胸へと飛びついた
『好き』
「は、」
コイゴゴロを奪われたたぬきから出た言葉にゾロは言葉が出なかった
『私、貴方のこと好きになっちゃった!!
私、何度でも貴方を愛しちゃうみたい!』
こんな状況でそれをいうか
長い時間いっしょにいたから忘れていたが、出会った頃のたぬきもこんな感じだった
ルフィにも負けないくらい真っ直ぐで、ナミに並ぶくらいしっかりして、誰よりも無邪気だ
そんな簡単なことに気づきゾロもやっと素直になれた
「…んなこと、ずっと知ってるぜ」
俺だって何度でもたぬきを愛すだろうよ
「俺も愛してる……絶対ェ離れんなよ」
記憶なくしたなんて言い訳にならなェからな
たぬきの頭を押さえそのまま口付けをおとした
『!!』
「どうなっても知らなェぞって俺は言ったぞ」