ハゴロモサン×ト×ドロボウサン
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クロロがホテルに帰ってきたのは、日をまたぎ随分明るくなってからのことだった
ターゲットと別れた途端、息苦しいネクタイを外した
『タヌキ?』
シンと静まり返った部屋に、声をかけても返事はない
やはりやりすぎたか?
部屋を空けるには仕方がなかったとはいえ本人の意思をまるで無視してしまった
しまったな
「………」
待て
他人の意思など気にしたことなどなかった
今の今まで
今俺はなにを思った?
タヌキが食べたいと言っていたプリンをテーブルに置く
何の疑問もなく自分はこのプリンを買ってきてしまっている
リビングにもキッチンにも寝室にもいない
部屋を一周ぐるりと周りようやく見つけた
「こんなところにいたのか」
暖かい朝日の差し込むバルコニーの隅にあるソファーでタヌキは寝こけていた
月見をしながら寝てしまったのだろう
何もこんなところで寝なくてもと思ったが
しかしなるほど居心地がいいな
タヌキに近づきしゃがんだ
クロロはポケットに仕舞ってあったキラキラ光る指輪を寝ているタヌキの指に嵌めた
「…お前の指は大きすぎるか」
バランスも悪いし、何より色が合わないな
きっとこの指に映えるのは…
「黒がいいな…今度はそうしよう」
嵌めていた指輪を外し、またポケットに仕舞った
隣に腰をかけ目を閉じた
撫でた尻尾からお日様の香りがする
タヌキが起きたらおやつにするか
そして、クロロも目を閉じた
そして、久しぶりに夢をみた
小さい子どもが
持っているぬいぐるみを
ボロボロになるまで抱きしめて
みかねた大人が
新しいのを返ってあげると言っても
泣きながら首を横に振り
コレじゃなきゃ駄目だと
更に強く抱きしめる
その考えが俺にも少しわかった気がする
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