ハゴロモサン×ト×ドロボウサン
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街に出たタヌキの目線はキョロキョロと忙しない
尻尾を仕舞ったタヌキは、どこからどう見ても普通の女の子にしか見えない
垂れ流されるオーラは一般人のソレと遜色もない
昨日の気配の絶ち方も、クロロたちが見失うものだった
クロロが偶々見つけた時も、完全な【絶】ではなく一般人に溶け込むようだった
偶々とはいえ見つけたのは運が良かった
『歩くのって面倒くさい』
文句を言いながらキチンとクロロについてくるタヌキ
これじゃあ首輪は必要なかったか
タヌキの首についた真っ黒な首輪を見ながら思った
誰もいないと思っていたアジトには、パソコンをひろげたシャルナークがいた
「なんだシャルまだいたのか」
「あれ?団長、子猫ちゃんは?」
『私は猫じゃない!!』
クロロの後ろから不機嫌そうなタヌキが顔を出す
アジトに残ったのはシャルナークのみだったらしく、フェイタンもフィンクスもさっさと去っていったとシャルナークから聞かされる
宝があるのにそんなに不用意でいいのかと思った
もともと暇だったら来いといっていたので、シャルナークがまだ残っていたのも珍しい
「子猫ちゃんのことが気になってね
一晩中、探したんだけどさっぱりだよ」
こうなったら、もう本人に聞くのが早いと思って
猫と言われて見るからに不機嫌になったタヌキはプイとシャルナークから顔を背けた
答えてくれそうにない
「シャル、昨日盗ったものをみせて欲しい」
『やっぱり、泥棒だったんだ』
「言い方が気に食わないな
盗賊と言ってくれ」
『意味はいっしょじゃん』
「いつの間にそんなに仲良くなったの?」
フェイタンを吹き飛ばした時はどんな化け物かと思ったら、存外クロロと上手くやっている様子にシャルナークは笑った
あの団長と普通に話せているだけで、タヌキって只者じゃないよね
「盗んだやつなら奥に積んであるよ」
シャルナークが指さした先には、高価なものだというのに乱雑に積まれた宝の山
昨日、タヌキが落ちたところだ
タヌキはふわりと浮き上がり、一直線に宝の山に向かうとすぐにお目当ての【二尾 鉄扇】を手に入れた
うん!しっくりくる!
「団長、旅団に入れるつもり?」
「いや…特にそういう予定はないな」
抜け番もないしな
クロロは適当なところに腰掛けた
「ちょうどいい、シャルナーク
この本の続きを探してくれ」
昨日盗んだ古い伝記本は全6巻もあるので読むより集める方が大変そうだ
「支払いは、その宝の山から好きなだけ盗っていっていいぞ」
「課金面倒なだけじゃん、団長」
まぁいいけど
クロロとのこのやりとりも慣れたものだと、軽く承諾する
それよりもシャルナークの興味はタヌキの方に向く
「ねぇ、子猫ちゃんは名前はなんで言うの?」
『猫じゃない』
「ごめんごめん
でも、教えてくれなきゃ君のことなんて呼んでいいかわからないからさ
俺、シャルナーク」
『…タヌキ』
素直に答えてくれるタヌキに、シャルナークもよかったーと笑顔を見せる
「貴方は?」
タヌキはシャルナークの奥にいるクロロに話しかける
「えっ!?団長、まだ自己紹介もしてないの?」
「クロロだ」
タヌキを真っ直ぐ見つめクロロは答えた
「タヌキは猫じゃないんでしょ?
じゃあ、昨日の尻尾はなに?」
『私は…』
シュルシュルと尻尾をだす
『羽衣狐』