ハゴロモサン×ト×ドロボウサン
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逃げろ
逃げろ
こんなに全力で逃げるのは何百年ぶりだ
木を隠すなら森へ
人を隠すなら人混みへ
凄まじいスピードで追ってくる気配を感じながら、人の気配がする街だと思われる方向へ逃げる
撒けてはないけど、目で見える距離でもないが確実に距離を詰められてる
ってか、あのマントの人早ッ
人間やめてるって!
シュルシュルと尻尾しまいながら人をびびらすための畏を最大限まで無くすことで存在感をさげる
そこにさらに、人混みの街へと逃げ込めば見つけることは困難になる
ぬらりひょんみたいに気配を完全に消せるわけではない羽衣狐は人の社会に溶け込むのが得意だ
暗闇よりも人混みに溶け込む方が得意だ
これでしょうけらたちの目を盗んで城下へと甘味を嗜みに行ったものだ
人混みに紛れながらフゥとため息が出た
格好が見られているから、着替えたいけど金もない
まず平安の通貨が使えるとも思えないし…
息を整えながら周りを見渡す
…もう大丈夫だよね
よかったよかった
流石に諦めたでしょ
はじめっからやべぇ奴に会ってしまった
でも、大丈夫大丈夫
ちゃんと逃げれたから
アニメや漫画じゃないんだし
ここで捕まるとかないから
だって、私羽衣狐だし!
息を吐いて緩んでしまった気を引き締め、人混みに一歩踏み出す
はぁ、これからどうしよう…
また考え事に集中して周りが見えなくて、曲がり角で人にぶつかりそうになった
『わッ!
すみません、考え事してて…ひぃっ!』
顔を上げると先程の1番やばそうな黒いコートの男
驚きすぎで尻尾が出てたなら通常の3倍は逆立っていただろう
さっきまでいなかったじゃん!!
脱兎…いや、脱狐の勢いで去ろうとするタヌキの腕が乱暴に掴まれる
その力は強く、どんなにタヌキが振りほどこうともビクともしなかった
タヌキが戸惑っているうちに、男の携帯が鳴る
「あっ、団長?
今フェイタンたちと一緒にいるんだけけど…ごめん、見失っちゃった」
「問題ない、捉えた
全員に戻るよう伝えてくれ」
電話で話しながら、逃げようとするタヌキを目で制する
びくりと震えタヌキは逃げれないことを悟り、振りほどくのを諦めた
というか携帯あるんだ
タヌキの関心は他のところに向いた
くそーやっぱり団長かぁと先程のテノールの男の声が携帯から聞こえた