粉大臣のところに落ちてたら
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『ここは…』
目を開けるとそこは森の中
パ○ーも親方もいないどころか、人の気配もしない
…もしかしたら、天空の城の方に落ちたのか?
視界に映るのは、ぴちぴちとなく小鳥に、生い茂った木々、透き通った空
…そして、このぷにぷにのもみじのような手
あれ?子どもの体になっている
新しい人生をとか言っていたが、こういうことなのだろうか…?
「お前…誰だ
ここで何して…!?」
まさか森の中で人と出会うとは思わず、ビクリと驚いて声の方をみる
そこには口が耳のあたりまで裂け、そこから見える歯は鋭い牙のようになっている少年が立っていた
妖怪かと思ったがどう見ても人間の子どもの雰囲気で、タヌキは驚きに固まった
少年も少年で、きっちり9本尻尾の生えたタヌキにあごが外れるくらい驚いている
2人ともが次の言葉を考えている時
“きゅるるる”
2人のお腹が同時に鳴いた
「ふぁるほとふぁー、ふぉまえふぁふぉーふぁいなのか」
『ドーナツを飲み込んでから言ってよ、カタクリ』
変わった見た目をした男の子はカタクリというらしい
見た目に反し、おやつを口いっぱい頬張って
中身は普通の男の子だ
この世界では見た目も別に普通のなのかもしれない
「んぐ、本当に悪魔の実じゃないのか?」
悪魔の実がなんなのかタヌキは知らないが、そんな不味そうなものは食べたことないと顔を横に振った
カタクリの母上は悪魔の実を食べたらしい
口いっぱいにドーナツを頬張るカタクリに、たくさんあったドーナツがあっという間に減っていく
『いいなぁ、カタクリ
大きな口いっぱいドーナツ食べられて』
今の小さい体ではタヌキがどんなに頑張っても、一口では穴まで辿りつけない
スイーツは一口目が1番美味い
大きい口ならそれが何倍も味わえる
「…タヌキは俺の口、怖くないのか?」
…どうやらカタクリの口はこの世界でも普通じゃないらしい
まだカタクリ以外と出会っていないから分からなかった
つい先日まで百人百様の妖怪たちに囲まれていた為、正直口が大きいだけで中身は普通のカタクリを怖いとは思わない
もっとやべーカイゴツだけみたいな見た目の奴とかいたし、ほぼ傘みたいな奴もいた
『怖くないよ
初めて会った私にドーナツくれたし
何より、カタクリおやつ美味しそうに食べるし』
「!!!」
『子どもらしくて可愛いと思う』
「お前も子どもだろ!」
あっ、そうだった
見た目は子ども、頭脳は大人状態だった
ちょっと偉そうだったかなと反省しながらカタクリを見る
「…でもそれは初めて…言われたぞ」
照れるのを隠す様にカタクリくんは残りのドーナツを全部口の中に詰め込んだ
何年かして、大好物のドーナツを頬張りすぎた事が原因で、口が裂けたのを聞いてちょっと引いたのは内緒の話
カタクリって好きなモノは、目に入れても痛くないんだなと思った
…いや彼が入れるのは口か?
愛情表現がだいぶ人より度を越しているようだ
「カタクリさまー!
どちらにいらっしゃるんですかー?」
「………」
『呼んでるよ?』
「わかっている
タヌキはこれからどうするんだ?」
『どうしようか…街でも行ったら誰か雇ってくれるかな』
子どもの姿では多少の不便があるだろうが、そこは千年と生きてきた知恵を活かしていこう
頑張ろう新生活!
意気込むタヌキに反し、カタクリは不安そうな顔でドーナッツを飲み込んだ
この島、万国はママによって安全の保証と称して寿命を少しずつ抜き取られてしまう
タヌキも…きっと抜き取られてしまう
なぜだかわからないが、それはちょっと嫌だ
『カタクリ?』
「いいところ連れてってやる」
タヌキの返事も待たず手を無理やり掴んで、引きずる様にズンズン進んでいく
「俺の秘密基地だ」
山の中の滸に連れてこられ、秘密基地にしては立派な小屋を指さした
…どこかの狩人が使い古した後かと思ったが、どうやら新しい
「俺が作らせた俺のものだ
自由に使え」
『えっ』
…もしかしてカタクリくんってぼんぼん?
初めて会った子は金持ちでした