青きじのところに落ちてたら
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『……ぃませーん』
「あ?なんか聞こえ…」
『すいませーん、ちょっと危ないです!!』
「…上か」
偉大なる航海の海上を愛用のチャリで漕いでいたクザンは、突然届いた声に顔をあげた
ちょうど自分の真上に降りてその少女をチャリから降りて受け止める
『…ぱずぅ?』
「ぱずぅ?いや違うけど
嬢ちゃん、こんなところに落ちてきてどうしたの」
尻尾をきっちり九本はやした少女がふわりと舞い降りてきたのだ
クザンが怪しむのも無理ない
そんなクザンに気づかずぽやっとした頭でタヌキはやっとクザンに抱き抱えられていることに気づき慌てて降りる
『すっ、すみません!
重いですよね、降ります!』
いつもの癖でフワッと降りてしまう
降りたタヌキに飛び込んできたのは、海
一面の海
『度々すみません…ここどこでしょうか?』
「んー、まっ嬢ちゃん
とりあえず乗りなさいな
おじさんが近くの島まで送ってあげる」
全くもって怪しいセリフだが、タヌキはこのおじさんを頼るしかなかった
チャリの荷台に乗りながらタヌキは自分のことを話した
感じる強者のオーラのおじさんには隠し通せる気がしなかったし、出ている尻尾の誤魔化し方も突然のことでうまく出来なかった
下手な嘘より素直に話した方がいいだろう
永年生きてきた勘をタヌキは概ね信じていた
「へぇ、嬢ちゃん見た目によらず壮絶だねぇ」
『はい、壮絶破茶滅茶バトルでした
でもいいんです、終わりましたから』
「お若いのに偉いねぇ」
『永年生きてますから』
「そういえばそうか」
タヌキの予想以上にクザンは話を受け入れ、タヌキの方が驚くほどだった
タヌキが落ちたグランドラインでは、あり得ないことがあり得ないらしい
なんだそのありがたい設定は
クザンもクザンで柔らかい尻尾が背中にあたりくすぐったいような感覚に、こりゃ信じざるを得ないよねーなんて思っていた
落ちてくるとこ見ちゃったし、可愛いし
これが暑苦しいおじさんとかだったら、ダラケきった正義の名の下、違う判断になっていたかもしれない
「…お嬢ちゃんがよかったら、おじさんとくる?」
『でも迷惑じゃないですか?』
「大丈夫大丈夫
おじさんこう見えて偉いのよ
少しぐらいのわがまま言ったってへーきなの」
『でも…』
タヌキがいくら言っても暖簾に腕押し
どうせ行くこともやることもないんだしいいかと、タヌキもついていくことを決めた
チャリの進む道が凍っているのが、おじさんの“能力”だと言うことも教えてくれた
タヌキの新鮮な反応に、本当に異世界からきたんだねと青きじも納得していた
たいそうな尻尾を携えて、悪魔の実も知らないとは
「じゃぁこれからよろしくね、嬢ちゃん」
『あっ、私タヌキっていいます
よろしくお願いします、おじさん』
「おじさんって…まぁ違わねぇけど
俺はクザン、こちらこそよろしくねタヌキちゃん」
ちゃん付けされるほど若くはないが、タヌキはハイと頷いた
そうして見えてきた海軍本部
塀に大きく書かれた海軍という文字にタヌキは驚いた
『海軍の方だったんですか?』
「あれ?言ってなかったっけ?」
『言ってないです』
仰々しいほどの佇まい
なんだか大変なことになりそうだな
タヌキが心配してもクザンが大丈夫大丈夫と言うのだからタヌキはついていくしかなかった
だが、連れてこられたカモメとヤギを携えたお偉いさんはやっぱりタヌキの予想した反応だった
「どこから拾ってきた!!」
「…どこからって…空?」
「っ!お前空島までサボってたのか!」
『空島…?』
「まあまあ
俺が責任取るんでいいでしょ?」
「…っ、もうわしのことは聞かんだろ…!!」
よかったねーとタヌキの頭を撫でる青きじ
こうしてタヌキは海軍で保護されることになった