れー連理の枝
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たぬきは骸たちと同じ檻の中で飼われていた
たぬきはケンと同様…キメラの実験をさせられた
ケンは人間の体に動物を
たぬきは動物の体に人間を
身を引きちぎられる様な日々でたぬきもまた檻の中で多くのものを失った
しかし、たぬきに骸たちのような戦闘能力は芽生えなかった
この廃墟にいる雲雀の元へと辿り着くだけでも、泥だらけで擦り傷までつくっていた
しかし、願い事を叶える力が宿った
偶然の賜物に実験を繰り返す大人たちですら驚いた
たぬきはこれがバレたとき、とっさにこの能力は一度きりだと嘘をついた
誰もが疑ったが、我が身の出世やお金にあと二回…一回と減っていくにつれ、その言葉の重みは増し、ついに施設の人間は最後の願い事は言わなかった
その願いを言ったのは骸だった
「その首輪を外してください」
たぬきが自分で命を断ち切らないように嵌められた首輪を外してくれたのは骸だった
自分の望みは叶えられないたぬきに代わり叶えてくれた
たぬきは骸にお礼がしたかったが、骸の願望に同意出来ず、戦力にもならないたぬきは骸たちと逸れた
しかし、小さな頃から施設で育ったたぬきに外の世界で生きる力はなく、息も絶え絶えだったところを雲雀に救われたのだった
『むくろ、おねがい』
「貴女から“お願い”だなんて貴重ですね…僕から“お願い”したことはありましたが」
その言葉の終わりとともに骸の容赦ない拳がたぬきのこめかみをとらえ、たぬきは吹っ飛んでしまった
「まあ、貴女の“お願い”など叶える義理はないですがね
僕の復讐を邪魔する者は何人たりとも赦さない」
仲間すら…いや自分すら犠牲にしてでも骸は復讐すると決めていた
共に地獄を切り抜けて来た者でも、過去に救った者であろうと立ち塞がるなら容赦はしない
そんな2人を見て、桜に囲まれて動けないはずの雲雀がトンファーを構え、血が混じった唾を吐き捨てた
2人の過去など知らないし、聞く気もない
ただ雲雀は己の感情が赴くまま、行動するのみだった
「……やっぱりキミ、気に入らない…噛み殺す」