みーミモザの日
change name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
朝食の時、たぬきはツナからミモザの花をもらった
サプライズに驚きながら嬉しさが隠しきれていないたぬきに、ツナも満足気に笑って教えてくれた
『ミモザの日?』
「今日は世界的に女性の日なんだ
ミモザの花言葉は、思いやりや女性らしさ、エレガンスなんてのがあって
イタリアの男性はこの日に大切な女性…恋人や友人や母親にいつまでも輝いて欲しいと送るんだよ」
『へぇ、ロマンチックですね』
たぬきはツナから貰い物ばかりで少し申し訳ない気がした
お返しをしようとしても、ツナに内緒で出掛けることはたぬきには難しい
が、こっそりと獄寺さんに頼んでみようと思うたぬきだった
貰ったミモザの花をたぬきは机に飾ることにした
ツナの隣がたぬきの席だ
ワガママを言って、簡単な事務作業をさせてもらっている
家事などは専属のメイドさんや執事の方がいて、たぬきが手伝うと足手まといになってしまうので、出来なかったのだ
渡される書類はミスのチェックや計算などでたぬきでもすぐに覚えられた
アンジェロのお墨付きの要領の良さは、ここでも遺憾無く発揮されている
たぬきは気づいていないが、リボーンは少しずつ秘書の教育をする気だ
そのたぬきの机の上にいつもはないミモザの花と白いスイートピーが置かれていた
『誰からでしょう?』
「やられた…」
疑問に思うたぬきは、もう犯人がわかったらしいツナを名探偵みたいなだなと思った
『誰かわかったんですか?』
「白いスイートピーの花言葉は門出とほのかな喜び…たぬきがここにきたこと、認めつつも結構さみしいと思ってる人はだーれだ」
『……!!』
そんなの…思い当たるのは1人しかいない
『アンジェロさん…?』
「ぴんぽーん!
これはやられたね…スイトピーまでつけるだなんて
あー、ずるいなぁこれはずるい」
もらったたぬきよりも大きくリアクションを見せるツナ…同じ男として悔しいらしい
大袈裟なリアクションにたぬきは少し笑ってしまった
「行ってくる?」
『えっでも…』
急な提案に少し戸惑う
行きたいのは山々だか、急に行って迷惑にならないだろうかとたぬきは不安になる
「こんなことされちゃあ、行かせないわけにはいかないし
いつも頑張ってくれてるから
今日はミモザの日…たぬき、君の日なんだから…好きにすればいいよ」
ツナに背中を押され、たぬきは久々にアンジェロの元へ出かけるのだった
カラン
「いらっしゃい」
『…アンジェロさん』
「ふふ、もうじき来る頃だと思ったよ
ココアがてきているから、冷めないうちに」
本当に来る時間がわかったみたいにアンジェロは、できたてのココアをたぬきにだしてくれた
久しぶりのそれにたぬきはゆっくり口をつけた
「どうだい、そちらは
いじめられてない?」
『いじめなんて!みなさん、優しくて
とても楽しいです…少しさみしいですけど』
「そうかい」
変わらないお茶目な笑顔を浮かべるアンジェロと、暖かいココアに、たぬきも身も心も暖かくなっていった
「なにか困ったことがあったら、いつでもおいで
なんだったらずっといてくれても構わない」
『えっと…それじゃあ1つだけいいですか』
「なんだい?」
『男の人ってお返しに何をもらったら嬉しいですか?』
「それはまた難しい質問だ…自分を想って考えてくれたものならなんだって嬉しいのだよ」
たぬきにとって何にも解決にならない
そんなものわかってたら苦労はしないのだ
出かけることすらあまり出来ないというのに
「なにをあげるかより、悩んで選んでいるとき手に取った時渡す時…その時に自分のことを考えてる、そのことが相手にとって嬉しいんだと私は思うよ
だから、ゆっくりでいい…ココアが冷めたらまた入れてあげるから」
アンジェロの言葉に、たぬきはひらめいた
『アンジェロさん!もう1つだけお願いがあるんですけど』
たぬきのお願いにアンジェロはふたつ返事で頷くのだった
ゆっくりでいいという、アンジェロの言葉も気にせずたぬきは願い事が叶うとお礼を言って帰っていった
その背中を見て、アンジェロはやっぱり少しさみしいさを感じたのだった
たぬきがアンジェロの店から帰ってくると、朝にはなかった山のようなミモザの花にたぬきは驚いた
「朝から大変だったよ
俺の誕生日だって、こんなに祝ってくれないのにさ」
いない間の報告をツナから聞きながら、すぐにせかせかと嬉しそうにミモザの花を飾る
鼻腔をかすめるミモザの花に、ツナは少しだけ書類を動かす手が軽くなった気がした…ほんとに少しだけ
カリカリと書類を書く音と、パソコンを打ち込む音が響く
どうしてこうもマフィアというのはアナログなのだろうか…まぁ、機密なのはわかるが
ふぅとため息をつきながら減らない書類の山と格闘していると、目の前にことりと美味しそうに湯気を立てたモカが置かれた
ツナが視線をあげると
『いつものお返しです』
にこりと微笑むたぬきがいた
アンジェロからのアドバイスで、たぬきはモカを入れることにしたのだ
少しでもツナの疲れが取れるように
「…ありがとう」
今度はツナが少し照れて、嬉しそうにお礼を言うのだった
「少し休憩しよっか」
『はいっ!
お菓子ももらってきたんです!
いっしょに食べましょう!!』
それから毎日たぬきはツナにモカを入れるようになった
私が輝いていれるのは
貴方の側に
身体あって心もいる
そんな時に1番輝くのです
1/1ページ