いー池袋
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『わっ!?』
グラハムに会いに行こうと曲がり角を曲がると目の前を自動販売機が通り過ぎた
驚いて顔を上げると、日本語の看板に“池袋”の文字
ということはそういうことなのだろう
何年ぶりに見た日本と…いや少し違うかもしれない
ここは池袋、自動販売機が舞う池袋…
つまりは戻ってきたのではなく、また同じ“世界”にトリップしたのだ
真上に自動販売機が迫る
思わず目を閉じる
ガッシャンと大きな音に驚いて目を向けると、そこには青い人…グラハムがいた
『グラハム!?なんでここにいるの!?』
驚きすぎて心臓が飛び出るかと思った
見事なまでに自動販売機を”カイタイ”したグラハムはテンションが高いまま話しだす
「うれしい…うれしい話をしよう!
買い物に行ったきり、なかなか帰ってこないタヌキに俺はイライラしていた
そのイライラは、シャフトをぶん殴っても治らなかった!
しかし!俺に奇跡が起きた!いや、これは運命か?偶然?いや!必然だった!!
目の前が光りに包まれ、次の瞬間には目の前にタヌキがいた!!
なんてうれしい話だ…こんなうれしい話があっていいのか!?
…が、こんなにうれしい話もタヌキの前じゃガラクタ同然!!
興奮しすぎて、興奮しすぎて興奮しすぎて!!
この興奮はどーしてもおさまってくれない!!」
『だいたい言いたいことはわかったよ、グラハム
だからね、一旦落ち着こうか』
すごく目立ってるからさ
服装だけでも目立ってるんだし、大声だしてたらそりゃ皆見るよ
「んだ?てめぇ??」
「ah…?」
ヤバイ金髪に睨まれ、慌てて私はグラハムの手をとってその場を去った
『しっ、失礼しました!!』
彼の上司が彼を呼び止め、追いかけて来ない
ラッキー!今のうちに逃げよう!!
「うれしい…うれしい話をしよう!
タヌキが自分から俺の手を握ってくれたぞ
いつも消極的なタヌキが!!
いや、いつもの消極的が嫌なわけじゃないが、これはこれで新鮮でイイ!
消極的なタヌキも可愛いが、積極的なタヌキも俺は好きだ!」
『!!、ほんっと恥ずかしいからやめて下さいッッ!!』
「タヌキはどうだ?
積極的な俺と消極的な俺?」
『…どっちも好きです』
「うれしい…うれしい話をッ!!」
『ぁあ、もうっ!ちょっと黙っててッうわっ!?だれ?』
「全くここまできて何やってんですか」
目の前に急に飛び出して来たのは、見たこともない3、40代の男だった
夏なのに長袖の甲までのシャツと下にはニッカポッカを着た土方職人のような出立の男は、こちらを知った風に喋る
男が被った帽子を直す仕草が、どこかでみたことあるものでタヌキはピンときた
『…もしかして』
シャフト?
というかシャム?
グラハムがいるので口には出さなかったけど、目の前のシャフトは理解したみたいで頷いた
シャムという知識・経験・記憶を共有する肉体をいくつも持っている意識体の彼はどうやら21世紀の池袋にもいたらしい
「?、タヌキの知り合いか?」
怪しげな目でシャフトを見るグラハム
勘がいい彼なら、もうすでに違和感を感じているかもしれない
『うっ乗っかからないでよ、重いよグラハム…』
「そうです、たぬきの母親とは小学校からの幼なじみです
彼女のご両親が仕事でロンドンに渡英中なので、日本にいる間僕が面倒を見ることになったんです」
「…ふぅん」
「貴方はたぬきのフィアンセですよね?話は聞いてますよ」
「!!、そうだ!
嬉しい話だ!俺がタヌキのフィアンセ!グラハム・スペクターだ!!」
「そうですか、自分は門田十兵衛と言います
家に案内しますよ、こちらです」
流石、グラハムの扱いに慣れてる
ここにいる間は、シャフトにお世話にあることにしよう
なんとも心強い
安心感が広まり、スキップでもしそうな足取りの後ろで、過ぎゆく池袋にまた一つうわさが広まった
金髪と黒髪のやばい奴が増えたらしいぞと
「面白いものみーつけた」
愉快犯が笑った
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