I WANNA BE WITH YOU 11
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「マスク取ってください」
突然振り返ったユアにすぐ後ろにいたソンウが驚いて背を逸らす。
「え?」
「マスク」
ソンウを見つめるユアは、口を尖らせ素っ気なく言う。
何故か車を降りる時から不機嫌だったユアは11階まで階段で上ると言って聞かず、結局ソンウが付き合うことになったのだ。
未だ目的階ではないのにも関わらず、階段の途中に立ち止まったユアはひとつ下の段にいる同じ高さのソンウを強く見つめる。
「なに?」
「マスク、……外してください」
「お…なんで?」
「外すの嫌なんですか」
「……なんでユアは怒ってるの?」
「……じゃあいいです」
ソンウから目を逸らしたユアはさっと振り返りまた階段を上り始める。おかしな様子のユアに呆気にとられたソンウは僅かに遅れを取る。
一段ずつ飛ばしながら上るユアにソンウも同じようにしながらユアの名前を呼ぶ。
「、ユア」
「……」
「ユア」
「……なんですか」
何回めかの呼びかけでようやく立ち止まったユアに、ソンウも若干上がった息を整える。止まったものの一向に振り返らないユアの手を引きゆっくりとこちらを向かせる。
頑なに目を合わせないユアにソンウは眉をあげる。
「ユア?」
「…だから、なんですかって」
「…どうしたの?」
「……別に」
「疲れちゃった?」
「…そんなことないです」
「最近ずっと忙しかったもんね」
「……わたし疲れてません」
ユアの手を取り両手で摩るソンウにユアは目を逸らしたまま眉を顰め口を歪ませる。
手を解こうとするユアにソンウは優しく笑う。
「しんどかったら寄っかかっていいんだよ」
「ほんとに、疲れてません」
「……じゃあ、俺が疲れてるから、ユアのこと抱きしめさせて」
「…………」
「……だめ?」
首を傾げてユアを見つめるソンウに、ユアは目をぎゅっと瞑りクゥンと子犬が鳴くように鼻を鳴らす。
もう一段階段を登ったソンウは、ひとつ上の段に立つユアの背中に手を添え自分の方へ引き寄せる。ソンウの肩に顔を押し付けたユアは軽く鼻をすする。
「なんで泣いちゃうの〜」
「……ッ、泣いてないです」
「うん、よしよし、疲れちゃったね」
「…オッパの方が疲れてるのに、甘えてごめんなさい」
「もう、なんでそんなこと言うの」
「……」
「俺は、こうなる前にもっと甘えてほしいくらいだよ」
「…優しいですね」
「そんなことないよ」
「……そうですよね。オッパにとってみんなに優しくするのは普通のことですもんね」
「…ユア」
「みんなに優しいオッパが好きです」
「ユア」
「………はい」
「俺がユアに優しくするのは、ユアのことが好きだからだよ」
ソンウに回した腕を更にきつく巻きつけながら、ユアはまた子犬のように鳴く。
「自惚れちゃう…」
「ここまでしてるのになんで自惚れてくれないかな〜」
「……だいすき」
「ふふ、俺も大好きです」
「私だけのオッパになってください」
「ふは、喜んで」
ユアから身体を離したソンウはユアの目尻に溜まった涙を拭ってやりながら自分のマスクを外す。
「はい、どうぞ」
「…………もう、いいです」
「なんで?したかったことがあるんでしょ?」
再び、今度は赤くなった目を逸らし口を尖らせるユアに、ソンウはニコニコと笑いながら言う。
「ほら、早くしないとまたマスクしちゃうよ?」
「意地悪」
「ほら、疲れたオッパにご褒美ちょうだい」
「……目閉じてください」
「え〜〜ユアの可愛い顔見ながらしたい」
「可愛い顔はいつも見てるでしょう」
「えっちな顔は別腹だよ」
ニヤつくソンウの目を無理やり片手で覆ったユアはぶつけるように一瞬唇同士をくっつける。
そのまま終わるだろうことを想像していたソンウは離されてすぐに再び触れた唇に驚く。
食むように唇をこすり合せるユアに優しく応えながら、ソンウは自然と上がる口角を止めることが出来なかった。