I WANNA BE WITH YOU 11
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「ユア!」
放送局の廊下をソンウと楽屋へと歩いていたユアは、唐突に後ろから名前を呼ばれ振り返る。
反射的に振り返ったユアは自分の名前を呼んだ本人の姿を見とめて目を見開く。
「…ジェヒョナ?!」
「ふは、やっぱりユアだ」
そういって笑い駆け寄ってくるジェヒョンを高校時代そうしていたように、ハグで受け止め、顔が見られるように離れ手を繋ぐ。2年前と何も変わらないお互いの姿に、ユアは自然と笑みが漏れる。
「…なんでここにいるの?」
「それはこっちの台詞なんだけど。ステージみてくれたんじゃないの?」
「……みてない、ごめん」
「いいよ」
ユアの頬にかかった髪を耳にかけてやりながらジェヒョンは目を細めてまた笑う。
「髪切ったんだ」
「ん」
「明るい色も似合うね」
「ジェヒョナ」
「うん?」
「デビューと、カムバックおめでと」
笑顔でそう言うユアにジェヒョンは目を見開き固まった後、破顔する。
「もう、デビューなんて、いつの話をしてるの?」
「だって私たち、卒業してから一度も会ってないじゃん」
「ラジオで会ったじゃん」
「そうだけど、個人的に」
「ふふ、そうだね」
「あの時話せなかったし」
「話したかったのに」
「それで、ずっと言おうと思ってたの」
はにかみながら目を逸らし足元を見たユアの顔を覗き込み、ありがとう、と言いながらジェヒョンはまた笑顔を見せる。
「可愛くなったね」
「………元々可愛かったでしょ」
「うん。でも大人の女性になった」
「ふっ、なんて?」
思わず、といったように吹き出して笑ったユアにジェヒョンはさらに笑みを深める。
「俺ユアのその笑顔が好きだったんだよ」
「私も、ジェヒョニの笑顔好きだったよ」
「今は?」
「今も好き」
「俺も」
くすぐったそうに笑うユアに、ジェヒョンはずっと気になっていた質問をぶつける。
「で、なんでここにいるの?カムバはまだでしょ?」
「オッパを迎えに来たの」
「オッパ?」
そこでようやく手を離し隣に立つソンウを指したユアに、その時初めてジェヒョンはその存在に気づく。
「あ、ソンウさん…」
「…こんにちは」
「ジェヒョニ、ソンウオッパ。ヒョンって呼んでもいいよ。ね?」
「ん、いいよ」
勝手にそう話すユアにソンウは微笑み、ジェヒョンもまたソンウに挨拶をする。
「俺は先に戻ってるよ」
「あ、なんでですか。私も一緒に戻ります」
「いいの?もっと話さなくて」
「はい、今日は俺ももうこれで。今度また、お茶でもしよう」
「最高!美味しいお店探しといてね」
「それはユアの仕事だろ」
「ジェヒョニ引き悪いもんね」
ユアはころころと笑い、またジェヒョンを軽く抱きしめ、パッと離す。
「じゃあね!番号は変わってないよ!連絡して!」
「うん、またね」
笑顔の2人と対照的に、ソンウの胸には冷たいものが広がる。
ジェヒョンと別れ、楽屋に向かう廊下を2人で歩きながら、ユアはソンウの顔をちらりと伺う。
歩幅がほとんど変わらないため、いつもは合わせなくても合う歩調だが、今日はソンウが急いているためどうにも足がもつれてしまう。
「オッパ、ちょっと」
強引に手を引いて歩くソンウを力づくで止めたユアは顔を背けようとするソンウの顔を覗き込む。
「なに」
「……怒ってるんですか」
「なんで」
「………わからないですけど、ちょっと怖いです」
「…………ごめん」
ゆっくりとユアを自分の腕の中に閉じ込めたソンウは、はあ、と一つため息を落とし、ユアの首元に顔を埋める。
「…オッパ?」
「……ユア」
「はい」
「ごめんね」
「どうしたんですか?」
「………俺を置いていかないで」
泣きそうな声で呟かれたその声にユアは首を傾げる。
「どこにオッパを置いていくんですか」
「……どこか遠くに」
「ふふ、なにそれ」
「笑い事じゃないよぉ」
「泣いてるんですか?」
「………まだ泣いてない」
「もう」
ユアは笑いながらソンウの体に腕を回す。
「オッパは自分がどれだけかっこいいか知らないんですか?」
「……知ってるけど」
「なのに私がオッパを捨てると思ってるんですか?」
「………ジェヒョニもかっこいいじゃん」
「まあ〜綺麗な顔してますよね」
更にきつくなった抱擁にユアはぐう、と声を上げる。
「冗談ですよ。ていうかこの話前もしましたよね?私はオッパが好きなんですってば」
「でも、心配なものは心配だもん」
「はあ〜〜?それはこっちの台詞ですけど?オッパ自分がどれだけモテてるか知ってます!?」
「………」
「私オッパが昔ちょっと遊んでたことも知ってるんですから」
「………それは本当にごめんなさい」
「ちょっと、であってます?」
「……そうしといてくださるとありがたいです」
首に顔を埋めたままなよなよとしているソンウにユアはまた声を上げて笑う。
「あ〜〜かわいいですね!ほんとーに!」
「あうっ」
背中をバシリと強く叩いたユアは、ソンウを剥がし手を引いて歩き出す。
「しょうがないから、私がどれだけオッパが好きか思い知らせてあげましょうか?」
「それはどういう……」
「どうだと思います?」
振り返り目を細めて笑ったユアにソンウの胸が大きく跳ねた。