I WANNA BE WITH YOU 11
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ベッドからようやく出てきたユアは大きな欠伸を押さえることなく洗面所に入ってくる。
スリッパを履いていないユアの足音がペタペタと鳴るのが可笑しく、ソンウは歯磨きをしながら笑みを漏らす。
「おはようございます、今日も早いですね」
嫌味を言いながら背後から抱きついてきたユアに、ソンウは眉を顰める。
「ユア、また…」
「……なんでわかるの?」
「…わかるよ」
「………オッパにしかみせないからいいじゃん」
「そういう問題じゃないんだな〜それ俺のシャツだし」
ソンウのTシャツを勝手に着ているユアは、下着以外履いておらず、ブラジャーはしていない。後ろから密着されているソンウにはその柔らかな感触がはっきりと伝わっていた。
「着てほしくて置いておいたのかと思って」
「着てほしいはほしいけど」
「ん!どうぞ存分にご覧になってください」
一度ぎゅうと強く抱きついたユアは、満足したのか洗顔を始める。横並びになり、それぞれの支度をしながら、ソンウはユアの胸元を見ないよう必死に視線を逸らす。
タオルで顔を拭いたユアは暫く鏡を見つめていたかと思うと、首をかしげる。
ソンウのサイズのため、ユアにとっては少し余裕のあるそのTシャツの襟ぐりから、赤い痕がのぞいていた。
「うわ」
「どしたの」
「これ」
「……どれ?」
ユアの指す先、鎖骨のすぐ下にあるその痕は正真正銘キスマークで、間違いなくソンウが昨夜つけたものだ。その赤は、ユアの白い肌のうえではっきりと存在を主張していた。
「この赤いの……昨日はなかったですよね?」
「う、うん」
「……」
「……」
「……虫刺され?」
「え?」
「え?」
鏡越しでなく直接ユアを見たソンウにユアもソンウを見る。
「ちがうんですか?」
「え、や、」
「じゃあ……蕁麻疹?」
「……えっと……」
「?」
ソンウにとって、この流れは完全に誤算だった。つけた時は夢中になっていたため考える余裕などなかったが、後から、キスマークに気づいたユアが赤くなる姿が見られるかも、と、そう少し期待していたのだ。
まさかキスマークを知らないなんてことがありうるとは。
「あ、や、なんだろうね」
「かゆくはない」
「そう、なんだ」
「オッパは刺されてないですか?」
「う、ん」
「じゃあよかった」
へらりと笑ったユアに、正直にそれは自分がつけたキスマークなんだと言うことができなかったソンウは、そのことを1日に何度も後悔することになる。
全体リハーサルを弟たちとはしゃぎながらこなすユアは、ハイネックのレース素材のトップスに、今日に限ってオフショルダーのブラウスを合わせていた。レース越しの明らかなその痕に、気づく者はしっかりと気づき、ソンウに愉しげに目配せをする。
「なんであいつアレあんな見せびらかしてんの?」
「見せびらかしてるというか、見せてるつもりもないと思います」
「は?あんな目立つところにつけといて気づかれてないの?」
「……というか、キスマークというものを知らないらしくて」
プッハ!
大きな声で吹き出したソンウンにメンバーの注目が集まり、なんでもないことを知ると再び散っていく。
「ごめッ、うそだろ!それは……まあある意味よかったじゃん〜〜」
甲高い声で笑われ、ソンウも思わず遠い目になる。
「ねえあれつけたのソンウ?」
「……そうでございます」
ソンウンの笑い声を聞いてか聞かずか、ミニョンがゆったりと輪に混ざる。ミニョンはソンウの肩に腕を回しながら意地悪く笑う。
「欲求不満なの?」
「なんで欲求不満?」
「鎖骨のキスマークは欲求不満の証なんですって」
「ミニョニなんでそんなこと知ってるの?」
「さっき調べました」
「……」
そう言ってスマートフォンの画面を見せてくれるミニョンにソンウは目を細める。
「なに、溜まってるの?」
「それはないだろ〜昨日お前ら寝たんだろ?」
「『胸や首筋といった柔らかい部分とは違い、鎖骨にキスマークをつけようと思うと、しっかり吸い付かなければ痕がつきません。それだけ強く相手を求めているということなのです』」
話を聞いていたらしいジソンがミニョンの反対側から肩を組み、スマートフォンの文章を読み上げる。
「声出して読むのやめてもらっていいですか」
「おお、ごめん」
「ゆーてお前、あ、」
そう声を上げたソンウンの視線の先、涙目でソンウを睨みつけているユアと、みなそれぞれに明後日の方向を見ている弟たち。
「教わっちゃったな〜あれは」
「あはは、超睨んでるわ」
「まあ原因はソンウだしな」
「お疲れ様でした〜」
そう言って散っていく兄たちと入れ替わり、ソンウの隣にジェファンが立つ。
「ねえなんでユアはキスマーク見せびらかしてるんですか?」
ハア、そう重く溢された溜息に、ジェファンはひとり首をかしげるのだった。