I WANNA BE WITH YOU 11
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ランニングから帰ってきたユアは玄関の扉のロックを解除する。
数字を押すたびくすぐったくなるのはその数字に関わるのが自分だけではないからか。
イヤホンを外しポケットに入れ、エンターボタンを押しロックのカバーを戻す。
扉を開けてもメンバーたちの声は聞こえない。いつもそうだ。この時間に起きているのはユアだけで、ほとんどは起こされるまで永遠に寝ていられる強者たちだ。
いつもの騒がしい空気ももちろん好きだが、トイレもシャワーも誰にも邪魔されず使いたい放題なこのひとりの時間も好きだ。
今日は雑誌の撮影のため、午後9時にマネオッパたちがくるのでそれまでに出られるようにしなければならない。昨日遅かったわけではないので起こすのも容易いだろう。
汗を流し私服に着替える。
15歳でデビューしてこのかたずっとボーイズグループに所属しているため、ボーイズライクなファッションが多い。スカートも好きだし、それなりに持っているが、何かと楽なスキニーを履くことが多い。
次の日着る服は前の日用意する派なユアは、今日の分も昨日のうちに既に選んであったのだが、今日は本当に着るのが楽しみなのだ。
というのも、昨日行った撮影でダニエルが衣装として着ていたピンクのパーカーがとても可愛く、どこに売っているのか聞き回っていたところにひとりのスタイリストがユアがそんなに気に入ったのなら…とくれたのだ。
昨日から、貰った瞬間から、今日着るのをずっと楽しみにしていたのだ。
首元にジッパーが付いた黒のタートルネックをインナーに、パーカーを着る。
キャップもチョイスすることを忘れずに。
コーデュロイの黒いキャップ。
これが最近のお気に入りだ。
時刻は8時半である。
闘いの始まりだ。
まずはそれぞれのスマートフォンに設定してあるアラームが大音量で流れる。
それで起きる者は起きるため、先に洗面所へ行ってもらう。
数に限りがあるため、さっさとしてもらわないと本当に美容室で顔を洗うことになる。
ウリオッパは起きない方の1人のため、他を起こした後に向かう。
ダニエルもジソンも洗面所へ行ってしまった部屋に1人残るソンウ。電気をつけた部屋は明るいのに布団を被って出てこないソンウのベッドへ近づく。
ユアは新しい宿舎に移っても上の段のベッドを貰っていた。
ソンウも上の段だ。2人寝っ転がった状態で目を合わせるのはなんとも胸がワクワクするものだ。
梯子に足をかけたまま、片膝だけベッドに載せてソンウを揺さぶる。
「オッパ、あと20分です」
「……」
「着替え用意しましたよ〜」
「…にえら」
「私ニエリオッパじゃないんですけど?」
「にえら、ちょっとおいで」
寝ぼけたソンウにそう言われ優しく手を引かれれば、そのままソンウの腕の中へおちる。必然的にベッドに乗り上がることになり、ソンウの上下する胸が目の前にあった。
「……オッパ、私、ニエリオッパじゃないんですけど」
先ほどより声が小さくなったのはわかっていたが、これはちょっと危ないかもしれない。大きめのパーカーを着ていてよかった。ソンウは寝間着なわけで、これ以上寝ているソンウの高い体温を感じていたらどうなっていたか。
身支度を整えて帰ってきたジソンに救出されるまでおとなしくされるがままでいたユアだったが、助け出されソンウが完全に覚醒すると本格的に拗ね始めた。
抱きしめられてドキドキした気持ちと、よりによってダニエルと間違えられたのだ。
「まさか、ニエリとできてたなんて」
「いや、できてるって」
「俺も知らなかった」
「俺はまあ予想はしてたかな」
「オンネルってマジだったんだ」
「おい」
「何の話?」
「私がソンウオッパ起こしに行ったら、にえら…って抱きしめられた話ですか?」
「ウケる」
移動の車の中で展開されるユアの被害状況確認とそれに乗じたおふざけにいやマジで違うんだって!と、慌てた顔で否定するソンウは、ユアの隣を確保し損ねていた。
今日のユアは早々にジソンの隣に座ってしまい、ソンウは仕方なくミニョンの隣に座ったのだ。
「いや、なんかニエリの匂いがしたんだって」
「え、匂いって」
「ソンウヒョン、ちょっときもい」
「いやマジで!香水?ニエリの使わなかった?」
「使ってないです」
まだ膨れたままいうユアにいや、そんなはずは……と、こちらももう凹みにへこみ、反論する切り札もない。
ここまで黙っていたダニエルが言う。
「ユアが着てるパーカー、昨日俺が着てたやつじゃないの」
「あ、そうです!可愛くて!昨日貰ったんです!」
「俺が昨日着てたから、俺の香水が移ったんじゃない?」
「それそれ!そう言うこと!」
パッと明るくなったソンウの顔だったが、面白がるメンバーたちはこんな美味しい話はないとまだ食いつく。
「ユアからニエリの匂いがした謎は解明されたけど…」
「ニエリヒョンと抱きしめ合って眠っているというソンウヒョンの真実は……」
「あ~~抱きしめてないし寝てないってば!」
膨れるのも飽きたユアだったが、慌てるソンウが面白く、それから数日、ダニエルの香水をわざと借りて使っていたという。