I WANNA BE WITH YOU 11
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「なに見てるの?」
「オッパです」
「俺?」
メンバーごとのスチールフォト撮影の待機中、スマホを見ながら目尻を下げていたユアに、なにか動物の動画でも観ているのかと聞けば、帰ってきた返事にソンウは虚を突かれる。
「うん」
にこにこしながら言うユアにソンウは手に持っていたカップを手渡す。
暖かい季節はエイド、寒いときは専らミルクティーを選ぶユアは、カップの蓋を外しながらソンウに礼を言う。
隣の席に座りながら「いつの俺?」と訊くソンウの耳は寒さか恥ずかしさか若干赤い。
「ナヤナの時です」
「それはまた……随分前のを」
「オッパも見ます?」
そう言い再び流し始めた動画は、歌番組では2回目のナヤナ披露となる時のものだ。
ユアが観ていたのはソンウフォーカスの動画、所謂ジッケムというやつだった。
収録の時、ひとりひとりにカメラが付いて自分を映すことにみんなで感動したものだった。
自分の分として外のワゴンで買ってきたアメリカーノを飲みながら、動画を見てはしゃぐユアを見つめる。
「わ!わ!やばい!今の見ました?!」
そう叫んでこちらを振り返ったユアに「ユアを見てた」とは言えず、どれ?と訊く。
ダブルタップで巻き戻したユアに、そういえば今ユアが見ていた動画は自分のものだったと思い出す。
カメラに向けて繰り出されるソンウの笑顔が良いらしく、ソンウが目を細めて笑うたびなにやら叫びながら少し巻き戻しては繰り返し観る。
「うわ〜〜やば〜い」
「どこが?」
「この笑顔」
「いつも間近でみてるじゃん」
「私あんまりこの笑顔見る機会ないんですよ」
「そうなの?」
「はい、この笑顔は、オッパの必殺技のひとつです」
可笑しな理論を展開するユアにソンウは思わず笑ってしまう。
「そんなに?」
「はい、それもかっこいいんですけど、ワナブルへの必殺技は若干ジャンルがちがいます」
目の前のソンウの笑顔にも頬を染めながらユアは言う。
「ワナブルへの必殺技は爽やかで本当のお兄さんみたいなのに、私がいつも見る必殺技はもっと……」
言いながら恥ずかしくなったのか、ユアは目を細めて笑うソンウから目を逸らし明後日の方向を見る。
顔を覗き込むソンウの前に手をかざし自分の顔を見せないようにするもユアの耳は真っ赤で。
「なに?」
「………甘いんです」
「そう?」
ふふ、と笑いながら惚けるソンウにユアは小さな声ではい、と返事をする。
そんなやりとりが繰り広げられているのはどんなロマンチックな空間かと思えば、撮影現場であり、もちろん二人きりでもない。
「ヤー、お前ら俺もここにいること忘れちゃった?」
ソンウンの一言にユアの肩が跳ね、さらに顔が赤くなる。
「えーいヒョンニム、今いいところだったのに」
「俺妹のラブシーン見たくないから外でやってくんね?」
「ラブシーンじゃないです!」
「そんな顔真っ赤にしてソンウになにされたんだよ〜」
「なにもされてません!」
「まだ、だろ?」
「する予定もありません!」
撮影の順番は次に来ていたユアだったが、顔の熱が引かず先に別のメンバーを撮ってもらうことになってしまい、それ以来待機中のソンウの動画鑑賞はやめておこうと誓ったのだった。