I WANNA BE WITH YOU 11
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ユアヌナは会うたび性格が違う。と思う。他の人がどう思っているかは知らないけれど。
それだけ沢山の、いろんなヌナを見せてもらっている、と言うことなのかもしれない。
今日もひとりで練習室に残り、ダンスの練習をしているユアは、みんなと練習する時とは顔つきが違う。
練習室のドアを開けると流れてくるVIXXの曲。この前カムバックした時の歌だ。
扇子を片手に鏡と向き合う顔は、プデュの時踊ったどの曲でも、ワナワンとして踊るどの曲でも見せることのない顔だ。
ジフンは練習室の隅に立ったまま、ユアが踊るのをじっと見る。
「ジフナ、そんなところにいないで座ったら?」
いつのまにか曲が終わっていたらしく、ボーッとしていたジフンにユアはくすくす笑いながら声をかける。
「何笑ってるんですか」
「鏡見つめたまま動かないんだもん、何見てたの?」
「ヌナですよ」
ユアはまだ笑いが止まらないようで、汗をかいて張り付いた前髪をかき上げながらこちらを見つめてくる。
「ジフニは帰らないの?」
全体練習を終え、各自自主練もよし、と言われたのを受けて、早々に解散した他のメンバーのことを言っているのだろう。
ジフンはそれに帰りません、と答えて鏡の前に移動する。
センターラインの目印がわりに置かれていたペットボトルの真ん前に腰を下ろし、鏡に背を預ける。
その様子を見たユアは、驚いたように一瞬目を見開き、ゆっくりと花が咲くように笑った。
「なんですか」
「ううん、そうやって練習を見てくれるオッパがいたの」
「エン先輩?」
「うん。あは、先輩ってなんだか新鮮」
「ヌナのことも初めて見た時はユア先輩、って呼んでたよ」
擽ったそうに笑うユアに、ジフンは自分の隣をトントンと叩き座るよう促す。
「VIXX先輩の歌、難しそうだね」
「そうね。でも遅れは取れないから」
ジフンは隣に三角座りしたユアを見つめるが、ユアはジフンではなく自分の靴先を見つめている。
「……帰りたい?」
そう訊くと、ユアは目を見開きこちらを見る。しばらく見つめあった後、ユアが再び目を逸らす。
「それは意地悪な質問だよ」
「確かに」
「そんなの、帰りたいに決まってるし帰りたくないに決まってる」
「そりゃそうだ」
しばらく黙って靴の先を見つめていたユアだったが、やがて耐えきれなくなったのか膝の上で腕を組み顔を埋めてしまった。
「あ〜〜〜ヌナ!ごめんって泣かないで」
「……やだ」
「ごめんなさい…」
「ジフニなんかきらい」
「ヒョン呼んできます?」
「本当にきらいになる」
「ああ〜〜どうすればいいんですか」
どうすることも出来ず慌てるジフンを無視して、膝に頭を埋めたままのユアはしばらく黙っていたかと思うと、篭った声で言う。
「明日わたしとお買い物行って」
「え?」
「わたしにジフニのお洋服選ばせて」
「そ、え?それでいいの?」
三角座りに腕を組んだまま顔を覗かせたユアは唇を尖らせた表情のままジフンを見つめる。
「それで許してくれるの?」
「うん」
「ふたりで?」
「ウジニも呼んでもいいよ」
「いい!ふたりきりでいこ!デート?」
「私の服も選んでくれる?」
「あげる!」
「きまり!」
そう言って笑ったユアにジフンも胸を撫で下ろした。
「ヌナ、本当にごめんね」
「うん。もういっこワガママ言ってもいい?」
「うん、言って」
「明日、素敵なカフェに連れてって」
「マジでデートじゃん!」
「ジフナ、そんなにヌナとデートしたいの?」
「めっちゃ!」
「かわいいね〜ウリジフニ〜」
叫んだジフンの頭を撫で回しながらユアが言う。
ジフンが明日は帽子とマスク禁止ね!と叫んだ瞬間ウジンたちが練習室の扉が開けたため、この後ふたりきりのデート計画はたちまち姿を変えることになる。