この舞台袖での待機は2度目。
慣れないのはまだ2度目だからなのか。

または、自分以外の101人の練習生たちがこの暗闇の向こうにいるからなのか。

それとも、前回はいなかった先生達が、そこに座っていると知っているからなのか。




「こんにちは Jerryfish6年練習生、ユアと申します。よろしくお願いします」




先生達の驚いた顔に思わず苦笑いを返す。

中には浅くない付き合いの先輩もいるものだから少々気まずい。


「ユア！」

「なんでここにいるの？！」

「VIXXじゃないの？」


全ての先生がマイクを持って喋るものだから、セットの中は僅かに笑いが漏れる。


「はい、VIXXとして5年間活動してきました」

その声にすかさず「なんでここにいるの？」と声が入る。

ユアは笑顔を保ったまま答える


「本当はシーズン1の方に出るべきだったのですが」

「いやそれもそうだけど」

「なぜ既にVIXXとして活動してるユアがこのプログラムに出ることにしたの？」


混乱に包まれた会場を、BoAの一声が静める。


「私たちのグループは、私以外男なので、5年以内に軍隊へ行くことになります」

ああ〜〜と大きなどよめきが生まれる。

「私がひとりで何が出来るのか、どこまで行けるのか試してみるのはどうか、という代表の声もあり、今回このプログラムに参加することになりました」

「それで、なんでシーズン2にしたかは？」

「私は今まで、男子グループの末っ子として活動してきました。会社の方とも相談した結果、次があるかわからないシーズン3に期待するより、こちらが良いと判断しました」