ユアは随分前に隣の席から前の舞台へといってしまったヒソクを遠くから睨みつけていた。

目が合う度にヒソクは普通の顔をしろ、と訴えるが、どうも両隣がいなくなったことでお喋りが十分に出来ず不満らしい。


早くこっちにこれば良い、デビュー枠圏内確定の癖に、勝手なやつだ、とヒソクは心の中で思う。




「Jerry fish、チョユア練習生！」

BoAの声にハッと顔を上げると大画面に大きくユアの顔が映し出されていた。

大きく返事をして立ち上がったものの、練習生たちの顔と笑い声を見る限りでは結構やらかしてしまった感は否めない。


「おめでとうございます。6位です」


ほっと息を吐き、歩き出す。


一言、というBoAからマイクを受け取り、カメラと向き合う。






ダニエルオッパのニヤニヤ笑う顔が鬱陶しい。そんな事を考えながら。