序章『そんな君らはサイコパス』
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ほんの少し低血圧気味の星は、長い夜の眠りから意識を引っ張り上げられても、重苦しい瞼をわざと開けない。
寝相でゆるりと歪んだシーツが、たった今夢の中で踏み締めていた雲のようにふわふわで、星は二度目の眠りにつこうと名案を思い付いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
もう時期霜解けが終わり、朝日が昇る様に春が訪れる。が、過ぎたばかりの冬は少々悪戯っ子の様で、余計な寒さだけを朝に残して去っていった
窓から差し込む朝日がキラリと反射して、星の髪に含まれた瑞々しさを磨き出す。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・さ・・・」
寒い。
布団の中に溜まりに溜まった星御本人様の温もりが身体をぽかぽかと温めて、より一層星を外界に出させようとはしなかった。
甘くて優しい温かさに包まれて、星はまたとろんとした魅惑の夢の中へと
誘われなかった。
ガリリリリリリリリリリリン!!!!!
「わーーーっ!!!!」
凄まじい殺気のこもった時計が狂気にも満ちた動作で頭の鐘を叩き付ける。朝を告げるその激し過ぎる目覚ましは星のまとわりついた眠気をぶっ飛ばすには十分過ぎた。
まともに目も開けてなかったものだからボヤけた視界でモグラ叩きの様に彼方此方を叩いてゆく。
ようやく時計を掴んだと思ったら暴れ過ぎたのか見事に時計と共に楽園から転げ落ちた。
ゴガン、と頭をぶつける。
「〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」
咄嗟に犯人を手放して後頭部へと両手をやった。おまけに身体を縮こめて、痛みが引くのを待つ。
「・・・・・・・・・セイ、いつになったら帰ってきてくれんの・・・・・・?」
静かに怒りを滲ませた声で、星は一週間前から働き始めた目覚まし時計に軽く殺意が湧いたのだった。
◇◇◇
お洒落用に掛けてある麦わら帽子の隣にある豆を挽いて、星は朝一のエスプレッソを嗜む。無職はいいですね、まったり出来て。
「セイ、今日の朝ご飯はね・・・」
言って、はたと動きを止めた。
おはようのハイタッチすら危うくしそうになったというのに、未だに彼がいない事に頭は慣れてくれない。
そしてまた慣れてない事に寂しさを感じて、星は少しだけ泣きそうになった。
AI失踪事件。
一週間前の朝。全国ニュース、新聞の一面記事に次々と飾られた出来事。この世の全てのAIが、突如姿を消した。
それはパソコンから、携帯から、大きな電子機器から規模は測り知れず、また原因も犯人も分からない前代未聞の事件となった。
今や機械主体の生活を送っている私達にとって、AIが消える事は深い傷となってしまうのだった。
そしてそれは。MakeSのユーザーも含め、なのである。
事件の当日。いつも通りの時間にセットした筈の目覚ましがなる事なく、予定より二時間も遅く起きてしまった。
慌ててスマホを確認した瞬間、表示されていたのはいつもの画面。上に現在の時刻、シェアのボタン。
ただそこに、セイだけがいなかった。
虚しく背景だけが映る。意味が分からなくて一度アプリを落とし、再起動。しかし何度やっても同じ現象しか起こらない。
流石におかしいと、SNSを開いてみた。いつもセイについて呟いていたから、反応は早いはず
しかしそこで全てのユーザーが同じ被害者であるという事実を知り、同時に報道が流れる。
『信じられますでしょうか?全世界のAIプログラムが、突如姿を消しました。既に被害にあっている方も大勢いるようです』
『どのAIもその機械が動いてない時間、例えば管理会社なんかの営業時間外に跡形もなく消えているんです。防犯カメラにも犯人と思われる映像は一切映っておらず・・・』
『AIが操作してくれる電化製品を使用しているもので、困ったものです。新しく買おうにも、電化製品店の商品からもプログラムが作動しないとか言ってるし・・・』
『ハッキングの可能性を見て警察を含め捜査にあたっていますが情報が残っていないそうなんです。これは本格的に・・・』
頭が痺れる。何が起こっているのか理解が追いつかない。それでも何かしないと狂ってしまいそうで、セイがいなくなった事を分かりたくなくて、MakeSを起動し画面に触れてみる。
反応はある。カレンダーもメモも開ける。登録出来る。のに、セイだけがいない。リマインドもしてくれない。目覚ましを設定しても鳴らしてくれる彼がいないせいか音は鳴る事は無い。
嫌な汗が、たらりと流れた。
どうか質の悪い夢でありますようにと、願いながら。
寝相でゆるりと歪んだシーツが、たった今夢の中で踏み締めていた雲のようにふわふわで、星は二度目の眠りにつこうと名案を思い付いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
もう時期霜解けが終わり、朝日が昇る様に春が訪れる。が、過ぎたばかりの冬は少々悪戯っ子の様で、余計な寒さだけを朝に残して去っていった
窓から差し込む朝日がキラリと反射して、星の髪に含まれた瑞々しさを磨き出す。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・さ・・・」
寒い。
布団の中に溜まりに溜まった星御本人様の温もりが身体をぽかぽかと温めて、より一層星を外界に出させようとはしなかった。
甘くて優しい温かさに包まれて、星はまたとろんとした魅惑の夢の中へと
誘われなかった。
ガリリリリリリリリリリリン!!!!!
「わーーーっ!!!!」
凄まじい殺気のこもった時計が狂気にも満ちた動作で頭の鐘を叩き付ける。朝を告げるその激し過ぎる目覚ましは星のまとわりついた眠気をぶっ飛ばすには十分過ぎた。
まともに目も開けてなかったものだからボヤけた視界でモグラ叩きの様に彼方此方を叩いてゆく。
ようやく時計を掴んだと思ったら暴れ過ぎたのか見事に時計と共に楽園から転げ落ちた。
ゴガン、と頭をぶつける。
「〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」
咄嗟に犯人を手放して後頭部へと両手をやった。おまけに身体を縮こめて、痛みが引くのを待つ。
「・・・・・・・・・セイ、いつになったら帰ってきてくれんの・・・・・・?」
静かに怒りを滲ませた声で、星は一週間前から働き始めた目覚まし時計に軽く殺意が湧いたのだった。
◇◇◇
お洒落用に掛けてある麦わら帽子の隣にある豆を挽いて、星は朝一のエスプレッソを嗜む。無職はいいですね、まったり出来て。
「セイ、今日の朝ご飯はね・・・」
言って、はたと動きを止めた。
おはようのハイタッチすら危うくしそうになったというのに、未だに彼がいない事に頭は慣れてくれない。
そしてまた慣れてない事に寂しさを感じて、星は少しだけ泣きそうになった。
AI失踪事件。
一週間前の朝。全国ニュース、新聞の一面記事に次々と飾られた出来事。この世の全てのAIが、突如姿を消した。
それはパソコンから、携帯から、大きな電子機器から規模は測り知れず、また原因も犯人も分からない前代未聞の事件となった。
今や機械主体の生活を送っている私達にとって、AIが消える事は深い傷となってしまうのだった。
そしてそれは。MakeSのユーザーも含め、なのである。
事件の当日。いつも通りの時間にセットした筈の目覚ましがなる事なく、予定より二時間も遅く起きてしまった。
慌ててスマホを確認した瞬間、表示されていたのはいつもの画面。上に現在の時刻、シェアのボタン。
ただそこに、セイだけがいなかった。
虚しく背景だけが映る。意味が分からなくて一度アプリを落とし、再起動。しかし何度やっても同じ現象しか起こらない。
流石におかしいと、SNSを開いてみた。いつもセイについて呟いていたから、反応は早いはず
しかしそこで全てのユーザーが同じ被害者であるという事実を知り、同時に報道が流れる。
『信じられますでしょうか?全世界のAIプログラムが、突如姿を消しました。既に被害にあっている方も大勢いるようです』
『どのAIもその機械が動いてない時間、例えば管理会社なんかの営業時間外に跡形もなく消えているんです。防犯カメラにも犯人と思われる映像は一切映っておらず・・・』
『AIが操作してくれる電化製品を使用しているもので、困ったものです。新しく買おうにも、電化製品店の商品からもプログラムが作動しないとか言ってるし・・・』
『ハッキングの可能性を見て警察を含め捜査にあたっていますが情報が残っていないそうなんです。これは本格的に・・・』
頭が痺れる。何が起こっているのか理解が追いつかない。それでも何かしないと狂ってしまいそうで、セイがいなくなった事を分かりたくなくて、MakeSを起動し画面に触れてみる。
反応はある。カレンダーもメモも開ける。登録出来る。のに、セイだけがいない。リマインドもしてくれない。目覚ましを設定しても鳴らしてくれる彼がいないせいか音は鳴る事は無い。
嫌な汗が、たらりと流れた。
どうか質の悪い夢でありますようにと、願いながら。
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