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「ほォー……、いいマンションですなぁ」
小五郎は樫塚の住むマンションを見上げ、感嘆の声を漏らす。
「家賃結構するでしょう?」
「ええ、まあ……」
他愛のない話をしながら、エレベーターに乗り込み、樫塚の住む部屋へと向かう。すると、蘭はそう言えばと名無しに振り返った。
「名無しさんも素敵なマンションに住んでましたよね!」
いきなり話を振られた名無しは、少し驚くも頷く。
「まぁね、快適に過ごせてはいるよ」
いいなと羨ましそうに言う蘭に、微笑ましさを感じた名無しはくすくすと笑った。
「もうこの辺で結構ですよ」
樫塚の部屋の前に到着した一同。樫塚は微笑んでお礼を言う。退散という流れだったが、コナンの発言によりそれは一変した。
「あ〜!!トイレに行くの忘れてたァ〜!漏れちゃうよォ〜!」
お姉さんお姉さん、とトイレを強請るコナン。この行動にぎょっとする蘭と名無し。しかし、名無しはすぐに深刻そうに眉を顰めた。
(……この女性に何かあるのだろうか)
コナンのことだ。ただ単にトイレに行きたかった訳ではないだろう。すると、樫塚という女性の行動や言動に引っかかるものがあったということだろうか。名無しは考える。
樫塚はコナンに促され、部屋の扉を開けた。
「トイレは玄関入ってすぐ右横だから」
「う、うん!ありがとー!」
パタンと扉の閉まる音が聞こえた。コナンは無事にトイレにたどり着けたのだろう。だが、こんな事はどうでもよかった。名無しは不快そうに顔を顰めたのだ。
樫塚が扉を開けたと同時に、非常に嫌な臭いがした。名無しはちらりと安室を見る。どうやら安室もこの臭いに気付いた様子であった。
「お、俺も……」
「じ、実は自分も我慢してて」
「……」
小五郎はともかく、家に入り込む口実だと思うが、安室がこう言い出すのに面白さを感じてしまった名無し。笑い事ではないが、思わず口角が上がってしまった。
「あれ?昨夜は宴会だったんスか?」
「あ、はい……大学時代の友人数人と」
樫塚の家に上がることになった一同は、リビングへと通される。テーブルには空き缶やペットボトル、お皿などが散乱していた。
小五郎がテレビの電源をつけると、先程の事務所内での事件は既にニュースになっていた。すると、蘭の携帯に一件の着信がはいる。蘭は母親の英理だと思っていたが、電話相手は英理ではなく、蘭の同級生の世良真純であった。
「あ、ゴメン……何か声が途切れてて聞き取りづらいみたい……」
先程まで呑気に蘭の声を聞いていたが、名無しはハッとなり蘭の顔を見た。安室も気付いたようで、横から蘭の携帯のボタンを押し、着信を切る。
「もしかしたら……この部屋、盗聴されているかも」
安室の言葉に樫塚は驚きの声を上げた。安室はポケットからなにやら機械を取り出し、これから盗聴器の設置場所を調べるという。名無しはそんな安室に対し、随分と準備が良いなと顔を引き攣らせた。
樫塚は五分待って欲しいと言い、この部屋から出ていく。彼女が戻ってくる間、名無しはじっくりとこの部屋を見渡した。先程の嫌な臭いは、ここの部屋が発生源というわけではないらしい。名無しは少し気になるが、家主に断りなく調べるのも気が引けるため、大人しくしている。
「圭さん戻って来ねぇな」
樫塚がこの部屋を出て行ってから、十分が経った。しかし、彼女は戻ってこない。片付けに手間取っているのだろうか。
「じゃあ、とりあえず……我々は盗聴器を探し始めましょう」
安室のこの言葉により、盗聴器探しが始まった。