No Title
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そのあと、どうしたんだっけ。
ああ……この出来事きっかけに、よく話しかけられるようになったんだ。
「……さん」
思い返せば、青春してたなぁ。
そういえば、あの二人は今は何をしているのだろうか。
「名無しさん!」
高校の卒業式以来、会っていないなぁ……
「名無しさんっ!!」
「っ!?」
名無しは勢いよく体を起こす。そして、辺りをゆっくりと見渡した。
自分の家ではない。数年前からよく出入りしている阿笠邸だ。
「名無しさん、いくら寝不足だからって床で寝るのはないと思うよ」
「……」
名無しの顔を覗き込む小さな少年、江戸川コナン。コナンは呆れたように名無しを見ている。名無しは訳が分からないといった様子で、床から立ち上がった。そして、ゆっくりと首を回し伸びをする。
「ふわぁ……体が痛い」
「自業自得だろ」
じとりと睨むコナンを名無しは眠そうな目で見下ろす。そして、わしゃわしゃとコナンの頭を撫で回した。
「わっ、ちょ、やめろよ!ガキじゃねぇんだから!」
必死に抵抗するコナンを見て、名無しはくつくつと喉を鳴らした。その見た目で何を言っているんだと笑う。
「例え元の姿だとしても、私から見たら十分子供だよ。高校生の新一くん?」
にっと悪そうに口角を上げれば、コナンは名無しに鋭い視線を向けた。
名無しはコナンの様子にケラケラと笑いながら、慣れた手つきでコーヒーを入れ始める。
「コナンくんもコーヒーいる?」
ちらりとコナンの様子を伺えば、不快そうに乱れた髪を整えている。コナンは名無しの言葉に、低い声で「いる」と答えた。
コナンはコーヒーを入れている名無しの姿をじっと観察した。不健康そうな色白の肌に、顔にはクマを浮かばせている。ここ最近名無しの姿は見ていなかった。仕事が忙しいのだろうか。名無しの姿はどこかやつれている様子である。
「寝不足か?」
名無しからコーヒーを受け取り、彼女に問いかける。名無しはコナンをチラリと見て頷いた。
「仕事でね。上司は人使いが荒くて困っている」
深いため息をついた名無しは、だらりと椅子に腰をかけた。コナンはそんな彼女を憐れむように見つめる。
「そういや、小五郎のおっちゃんに弟子ができた」
「は?弟子?」
名無し充血した目をコナンを向ける。コナンはそんな名無しの視線にぎょっとした様子を見せた。
「……おっちゃんの推理に感銘を受けたとよ」
呆れた様子のコナンに、名無しはくつくつと喉を鳴らした。
「実質、君の弟子じゃないか」
「他人事だと思って……」
「だって、他人事だもん」
眠りの小五郎の正体を知っている名無しから見れば、非常に愉快な出来事である。
「まぁ、バレないように気を付けなさい」
「わーってるよ」
名無しポンポンとコナンの頭を撫でる。コナンはじとりと名無しに視線を向けた。
「名無しさん」
「何?」
「どんな夢見てたの?」
「夢?」
名無しはいきなりの話題にキョトンとする。理由を聞けば、寝ている時の名無しはすごく幸せそうな表情をしていたとのことだった。
名無しは顎に手を当てて考え込む。
「夢、ね。どんな夢だったのだろうね」
「オレに聞かれても……」
コナンは名無しの返答に苦笑いを浮かべた。
「君も早く元の姿に戻れるといいね」
「……そうだな」