人形の家
夢小説設定
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銀座のとある一角に佇む赤煉瓦の建物。その二階の扉には「OPEN」と書かれた札がぶら下がっていた。
扉を開けると、ローテーブルと黒色のソファーが二つ置かれているのが見える。
そして、そのテーブルを挟むように座る二人の女性がいた。
「……なるほど。その変な現象について調査して欲しいと」
全身真っ黒の女は書類にペンを走らせながら依頼人を見た。
依頼人の名は森下典子。
家具が揺れる、何も無い所で音がするなどの謎の現象に悩まされているようだ。
「いわゆる心霊現象かどうか、実際に見てみないと判断は出来ません」
そう伝えると、典子は視線を床に落とす。
「……四日後そちらに伺いたいのですが大丈夫ですか?」
ちらりと典子と目が合えば、彼女は勢いよく立ち上がり頭を下げた。
「どうぞよろしくお願い致します!」
その様子に女は微笑み、こちらこそと呟いた。
正式に依頼を受理し、女は入口まで典子を見送る。
「そういえば、私の他に何人かに依頼されたと聞きましたが……」
女がこう聞くと、典子はハッとしたように私を見た。
「もしかして、不味かったですか……?」
彼女のこの言葉に女は首を横に振る。
「いえ、問題はありません。ただ、どんな人達にお願いしたのか気になりまして……
これから一緒に調査をしていく訳ですし」
こう伝えれば、典子は胸を撫で下ろす。
「ええと……渋谷サイキック・リサーチさんとお坊さん、巫女さんに頼みました」
そして、女の一日前に現場入りすると伝える。その言葉を聞いて、女は微笑む。
「なるほど……もしかしたら、私が来る前に解決してしまうかもしれませんね」
大袈裟に言ってみせると、典子はくすくすと笑いを漏らす。
「早く解決するといいのですが……」
「ええ、早く解決するに越したことはありませんからね」
彼女はもう一度私に頭を下げ、この場を立ち去った。
女は部屋に戻り、書類を片手にソファーに腰を下ろす。
「幽霊屋敷か……」
女は口元を歪ませる。
「今回の調査は暫し時間がかかりそうだ」
彼女の名前は方喰名無し。
銀座に事務所を構える祓い屋である。
趣味はドライブとツーリング。
最近購入したバイクを乗り回していたところ、暴走族に追いかけられたのはいい思い出である。
また、前回の心霊現象で悩まされていると依頼してきた人物は、まさかの薬物中毒者とある意味大事件だった。
そんな彼女が次に挑むのは「幽霊屋敷」
彼女と彼らの出会いは、一体どんな化学反応を起こしてくれるのか非常に楽しみである。