人形の家
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ジョン・ブラウンといいます」
先程まで、礼美にお祈りをしていたジョンがベースに戻ってくる。
ニコニコと人良さそうな笑顔を浮かべる可愛らしい少年に対し、名無しもその笑顔につられて口角を上げた。
「話は聞いています。方喰名無しです。どうぞよろしく」
そう言って、お互い手を握る。そして、名無しは礼美の様子をジョンに尋ねた。ジョンは微笑みながら、少しはマシではないだろうかと告げる。
「そうか……では、早めにミニーの方をどうにかしないとだな」
「はいです。渋谷さん、人形の方を……」
ジョンは名無しから背を向け、ナルを見た。そして、言葉を紡ごうとしたその時、滝川が勢いよくドアを開けてベースに飛び込んでくる。
「ナル!ミニーが消えた!」
「……逃げたか」
少し目を話した好きを盗んで、ミニーは消えてしまった。ナルは少し考え込む素振りを見せ、時期に現れるだろうと言う。
名無しはその様子を見守りながら、壁に寄りかかり考え事をしていた。その時、窓からコンコンと小さな音が聞こえる。その音は部屋にいる他の者にも聞こえていたようで、一同に緊張が走った。
壁際にいた名無しは静かに窓辺に近付く。そして、窓を開け外に顔を出し、辺りを見渡す。しかし、誰もいない。霊の気配も名無し感じない。名無しは視線を地面に移した。地面には小さな石が数個落ちている。悪戯だろうか。名無しは不思議に思い眉を顰めた。
「どうした?」
ナルが声をかける。名無しは振り向き何も無かったと告げた。しかし、ふと気配を感じることに気付く。名無しはもう一度視線を外に戻した。そして、外に植えられている木に視線を止める。
「子供がうじゃうじゃ鬱陶しい。早くどうにかしておくれ」
鋭い目つきで名無しを見る、異形。真っ黒い毛に覆われた獣のようなもの。それは木に止まり、名無しを見下ろしていた。
「頼んだぞ、人間」
「……」
名無しはゆっくり目を閉じ、深く息を吐いた。そして、何事も無かったかのように窓を閉める。
「……夜になれば動きを見せてくれるかもしれない。ナルの言う通り大人しく待とう」
「……」
名無しの後ろ姿をリンがじっと見つめていたことに、名無しは気付くことはなかった。
14/14ページ