人形の家
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名無しは濡らした雑巾で必死にラクガキを落としていた。滝川は人形の供養を行いに、ナルは名無しの傍で資料を読んでいる。
「名無し」
ナルに呼ばれ、名無しが振り向いた。ナルは名無しをじっと見つめている。
「子供の霊の様子はどうだ」
ナルに言われ、名無しはキョロキョロと廊下を見渡した。しかし、名無しの見る限り子供の霊の様子は見えない。名無しはナルの言葉に、顔を横に振った。
「ここにはいない。あとで全ての部屋を見てみる」
ナルは静かに頷く。そして、お互い黙々と作業を進めた。
「ん……?」
暫くした頃だろうか。壁のラクガキを半分まで消し終えた名無しはふと当たりを見渡す。ベースと廊下を行ったり来たりしていたナルは、ベースから顔を出し名無しに声をかけた。
「どうした」
「いや……急に騒がしくなった」
「騒がしい?」
先程と同じようにキョロキョロと当たりを見渡す名無し。そんな名無しを怪訝そうな目で見た。そして、名無しが後ろを振り向くと同時に名無しが乗っていた椅子が物凄い勢いで倒れる。しかし、名無しは持ち前の反射神経で体勢を立て直し着地した。ナルは驚いた様子で目を見開くが、すぐに状況を判断しリンに声をかける。
「名無し」
名無しを呼ぶナルに、大丈夫だと手を上げる。そして、名無しは先程の件は子供の霊だと伝えた。
名無しは倒れている椅子を戻し、映像確認のためにベースに戻ろうとしたその時だった。
カァッカァーー
ものすごい数のカラスの鳴き声聞こえたのだ。名無しはハッとして、急いで外に向かう。ナルの声は名無しには届かない。
「麻衣ちゃん!礼美ちゃん!」
大急ぎで庭にやって来た名無し。しかし、庭には青い顔をした典子しかいない。足を引きずりながら歩いていた。
「典子さん!麻衣ちゃんと礼美ちゃんは!?」
名無しが典子に聞くと、典子は震えた様子で名無しの後ろを指さす。典子の指の先には大きな池があったはずだ。名無しは弾かれたようにそこへ向かった。
「麻衣ちゃん!」
池に向かえば、びしょ濡れの麻衣と礼美がいる。どうやら無事だったらしい。名無しは胸を撫で下ろす。
「大丈夫か?」
麻衣は頷く。礼美は名無しより少し遅れてやって来た典子に駆け寄り行き抱きついた。名無しの見る限り二人に外傷は見当たらない。
「とりあえずシャワーを浴びた方がいい。話はその後だ」
名無しの言葉に麻衣は頷いた。