人形の家
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
廊下に出れば、典子と香奈が青い顔で壁を見つめている。名無したちもそれに釣られるように、壁に視線を移した。
「なっ……」
__わるいこにはばつをあたえる
廊下の壁に赤い文字で書かれている。見るからに子供が書いたような文字。
文字をじっと観察していたナルは、静かに呟いた。
「礼美ちゃんは話してはいけないこと、言われたことを話してしまった。ミニーは礼美ちゃんが裏切ったと思っている」
「……動きが活発になってきたな。礼美ちゃんの傍に誰か着いていた方がいい」
名無しの言葉にナルは頷く。そして、ナルは麻衣に目線を向けた。
「麻衣、礼美ちゃんの傍から離れるな」
麻衣はナルの言葉に力強く頷き、礼美ちゃんの元へと急いだ。
そして、麻衣を見送ったあとナルは滝川と名無しに向き直る。
「今のうちにラクガキを消そう。頼むぞ、ぼーさん、名無し」
「わかった」
「あれ、俺たち二人で?お前さんは?」
名無しと滝川の声が重なる。二人は思わず顔を見合せた。そして、滝川は名無しの肩を掴んだ。
「……文句の一つや二つ言っていいんだぞ」
「……」
無言の名無し。滝川はため息をつく。
「こんな時こそあのノッポのにーちゃんに手伝ってもらおーぜ」
「リンか?リンにはベースで機材を見てもらう」
ナルの返答に唸る滝川。その様子を名無しはじっと見つめていた。
「……そんでお前はやらんのかい」
「それが?」
滝川がナルを恨めしそうに見るが、ナルは知らん顔でベースの方に戻って行く。
暫くの間無言の二人。名無しが立ち尽くす滝川の肩を軽く叩いた。
「諦めろ、ぼーさん」
「なんでお前さんはそんなに素直なの」
しくしくと泣き真似をする滝川に対し、名無しはクスクスと笑った。
名無しはロッカーからバケツを取り出しながら、滝川に言う。
「私がラクガキを落としておくから、ぼーさんは人形の方に集中していてもいいぞ」
「名無しっ!!」
滝川は感激のあまり、思わず名無しに抱きついた。抱きつかれた名無しは驚いて固まっている。
滝川は名無しが動かないことをいいことに、がしがしと名無しの頭を撫で回した。
「名無しはなんていい子なんだ!!」
「うっ、髪が乱れる……!」
名無しが必死に抵抗するも、離れない滝川。
先程まで雰囲気は一体どこに行ったのだろうか。
このどんちゃん騒ぎを聞きつけたナルは、喧しそうにベースから顔を出す。そして、表情がみるみるうちに怒りに変わっていった。
「おい、早く取り掛からないか!!」
「ひぃ」
「っ!?」
ナルの怒号が廊下に響いた。