はじまり
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『__っは…はぁ、はぁ、はぁ…』
最悪だ。朝から最悪な目覚めだった。
今日は、雄英高校の入学式。私の気分とは打って変わって、天気がいい。快晴だ。
シャッ_と部屋のカーテンを開けると、まばゆい光が入ってきて目を細める。
一度、洗面所へ向かい顔を洗う。再び、部屋へ戻ると、壁に掛けてある新品の制服を手に取り、着替える。
新しいスクールバックに筆記用具や案内、そして新入生挨拶の用紙を入れる。
『面倒だな…』
これから迫る面倒な役目に、憂鬱になりボソッと本音がこぼれる。ため息を吐きながら、荷物を持って再びリビングへ行く。
テーブルの上には一枚の紙。
【夢へ
おはよう。今日は雄英高校の入学式やね!
お見送りできんくてごめんなあ…
お父さんとお母さん、出動要請かかったので行ってきます!
気を付けて行くんやで!帰りは、迎えに行くので終わったら連絡してなあ
お父さん、お母さんより】
『_はなっから、見送りなんて期待してないし』
母の丸い字を睨み、手紙をクシャっと握りゴミ箱へ捨てる。
ゴミ箱に入った手紙を見つめ、最後に両親と顔を合わせ話したのはいつだったかと、頭をよぎったがすぐに払いのけキッチンへ向かう。
食パンを一枚、トースターへセットし焼いている間に、冷蔵庫からベーコンと卵を取り出し、フライパンで焼く。
バチバチと油のはじける音を聞きながら、静かなリビングを眺める。
しばらくボーっとしていると、トースターのチンっという音で意識を戻された。ちょうど、ベーコンと目玉焼きも出来上がり、火を止め皿に移す。
牛乳をグラスに注ぎ、トレイにトーストやベーコン、目玉焼きの乗った皿とグラスを載せてテーブルへ向かう。
『いただきます』
誰が返してくれるわけでもないが、席に着くと挨拶をして食べ始める。ふと、リモコンを手に取りテレビをつける。
画面に映ったのはニュース番組で、でかでかと報道されているのは、笑顔で小さな子供を抱く父の姿。そして、父に駆け寄る母の姿。
『いや、あれは…“平和の象徴”ヒーローデクとウラビティか…』
そうだ。あれは父であって父ではない。母であって母ではないのだ。
手に持ったままのリモコンで、すぐさまテレビを消す。
『何が“平和の象徴”だ…何がヒーローだ…ヒーローなんて大嫌いだ…』
静かなリビングに私の声は、誰に届くわけでもなく消えていった。