100day Challenge

6.トビデイ

2024/09/27 23:06
SS
 


 眩しい、あまりにも眩しいひとだった。

 己を芸術に昇華させ死んでしまった時は、多少なりとも惜しく思った。……少し、いや。
 図らずも穢土転生した際に再会が叶ったが、オレは怖かった。うちは・・・を嫌っている人だったから、自分がそのうちはだと知られる事が。
 だけど先輩は……オレに怒ったり恨み言をぶつけたりはしなかった。何時ものあの真っ直ぐな視線でオレを見て、ただ「そうか」と言った。……それが寂しかった、なんて言えやしない。
 リンを想うのとは違う、身勝手な独占欲と支配欲。先輩の全てを自分の物にしたい。体も心も……どんな感情でさえも。
 同時に汚してはならないとも思う。眩しくて、手の届かないひと。

 ああ、どうしてこんな今際の際に思い出すんだろうか。
 暗くなっていく視界の隅で、あの金髪が翻った気がした。




 

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