100day Challenge

5.我サソ

2024/09/26 23:34
SS
 


 ※ サソリ生存if、生身





 砂隠れの里、その最深部――。
 所謂“拷問部屋”にて我愛羅は、椅子に座らされ拘束された一人の男と対峙していた。

「いい加減吐いたらどうだ」
「誰が言うかよ」

 鮮やかな赤い色の髪や白皙の美貌は薄汚れ、唇は切れて腕には無数の痣があった。それでも男――サソリの目はまだ死んでいなかった。
 我愛羅は目の前の男を注視しながら腕を組んだ。暁からの襲撃があったのは今から半月ほど前。己と里を襲ったデイダラからの攻撃を何とか捌き切った我愛羅は、一時は二人を捕縛。デイダラには逃げられてしまったが、ここ砂隠れの抜け忍であり、三代目風影を殺害した犯人……赤砂のサソリを捕らえる事に成功した。
 謎に包まれたS級犯罪者集団、暁の情報を何とか吐かせようと、暗部の拷問・尋問部隊が頑張っているらしいが……それらしい成果は未だ手に入っていない。見た目に反して強情な男だ、というのが我愛羅の感想だった。

「暁に未練や義理でもあるのか。話さない理由は何だ?」
「……は。別に義理立てしてるつもりはねぇ」

 サソリのギラついた瞳が我愛羅を映した。その光の強さに我愛羅の背筋が震える。

「この里が……“風影”が嫌いだから。ただそれだけだ」

 せせら笑うサソリ。その目に他の色を認めた我愛羅は、眉を寄せる。

「……気に食わない」
「い゙ッ――!」

 サソリは痛みに声を上げる。我愛羅が思い切り首筋に噛み付いたからだ。ややあって我愛羅が首筋から顔を上げると、くっきりと付いた歯型に血が滲んでいた。

「テメェ……っ、なに……」
「お前の前に居るのはオレだ。オレを見ろ……サソリ」

 サソリが動揺しているのが分かる。だが我愛羅は、待つ気はない。
 我愛羅が先程付けた傷口を舐める。只の血液、だがサソリの物だと思うと甘露よりも甘く感じた。




 

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