100day Challenge

3.三サソ

2024/09/24 23:54
SS
 


「お止めください、三代目風影様」

 まだ幼いが十分に冷えた声。オレはその少年の頬を撫でようとした手を止めた。
 温度のない視線がこちらを窺っている。

「オレは貴方の物にはなりません」

 その表情は気温の低下した砂漠の夜より冷徹だ。だがオレの瞳は、僅かな反応を見逃さなかった。
 手遊びのようにその赤い髪に触れる。それでも無表情を装う少年が、何より愛おしかった。

「オレはお前が欲しい。何を犠牲にしようとも、お前だけが」
「ハッ……馬鹿馬鹿しい」

 人形のように整った顏、その唇が歪む。嘲笑というより自嘲の様な笑み。
 心が狂おしく掻き立てられる。サソリの全ては……オレの物だ。

「愛している、サソリ」

 無言でオレから目を逸らすサソリの手を取り引き寄せたオレは、今度こそ彼の唇を啄んだ。




 

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