短編集
「イイ眺めね」
「っは……どこまでも悪趣味なヤローだ……っ」
オレは悪態を吐いて目の前の男を睨め付ける。
裸に剥かれたオレを四つん這いのような体勢で宙吊りにし、肢体を這い回っているのは……緑色の触手。ヌメヌメとした粘液を纏った長さも太さも様々なそれは、初代火影の細胞を研究していた際に出来た副産物らしい。
目の前で椅子に座り、妖しげな笑みを浮かべている男――大蛇丸に舌打ちをした。奴の研究室に引きずり込まれたと思ったらこの仕打ちだ。当の本人は安全圏からこちらを眺めているのみで、それがまた腹立たしい。
何でもこの触手たちは大蛇丸の支配下にあり、微弱なチャクラを流せば自由に動かせるらしい。その持続時間やら精度やらを確かめたいんだと。……それがオレと何の関係があるってんだ、クソ。コイツの
「そう怒らないで頂戴。アナタだって気持ちのいい事は嫌いじゃないでしょう?」
「知ったような口を……っあ、ア!」
「ホラ」
動きを止めていた触手たちが一斉に動き始めた。その生温かさと濡れた感覚から、全身を舐めしゃぶられているような錯覚に陥る。誹るために開いた口にも触手が入り込み、それは弾力が強くてとてもじゃないが噛み千切れそうにない。触手から分泌される甘ったるい粘液が、飲み切れずに口端から垂れた。
「あぁ、言い忘れてたけれど。こいつらの体液には催淫効果があるから、下手に飲み込まない方がいいわよ」
「っひ、あ♡あぁっ、ア♡う♡♡」
「フフ、もう聞こえてないみたいね……」
乳首、陰茎、菊座に至るまで……性感帯の一つ一つを刺激され、段々と追い詰められていく。与えられる快楽に溺れ、他の事は何も考えられなくなって。目の前に大蛇丸がいるというのに、気持ちよくなることしか考えられなくなる。
口から触手が引き抜かれても、オレが発するのは甘ったるい喘ぎ声だけだった。
「は、ァっ♡♡もうイッ、イく――ッ、ぁ?♡♡♡」
絶頂への階段を駆け上がり、あと一押しでもされればそこへ至るドアが開く……というところで触手たちが動きを止める。なんで、あと少しだったのに。どうして、どうして……。
もっと欲しくて、早くイきたくて……浅ましく腰をくねらせ、快感を得ようとする。大蛇丸はそんなオレを見て、笑みを深くした。
「アラ、そんなに早く終わってもつまらないじゃない」
「っや♡♡イきた、っイかせろ、ッ♡♡♡」
「まだまだ先は長いのよ。――楽しみましょう?」
こちらに近寄ってきた大蛇丸がその長い舌をオレの口へと挿し入れ、二人で舌を絡ませ合う。厭らしい水音と連動するように触手が少しずつ動くから、もっと快感を得たいオレは必死にキスに応えるけれど、どうしても大蛇丸の大きな舌に翻弄されてしまう。
触手がまた蠢き始める。同じように大蛇丸の指が肌を滑ってゆく。与えられる刺激と熱に抗えず、オレはただ快楽を享受するのみだった。
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